目立たないが,晩年のWoody Shawが聞けるナイスなワンホーン・ライブ盤。
"In My Own Sweet Way" Woody Shaw (In & Out)
不幸な亡くなり方をしたWoody Shawであるが,彼の残したアルバム群にはほぼはずれがなく,どれを取ってもレベルの高いハード・バップを聞かせてくれる。時が時であれば,はるかに大きな名声を得ていたはずだが,時代がそれを許さなかったというのは何とも皮肉なことである。それでも,70年代後半から80年にはDown Beatの読者投票でトランペット部門の1位になっているから,全く陽が当たらなかったという訳でもないのが救いだ。
本作は彼が亡くなる直前か,亡くなった直後ぐらいにリリースされたスイスでのライブ盤で,録音は亡くなる約2年前。ライブ盤ではあるが,聴衆の拍手等はかなり抑えられている。ドイツのIn & Outレーベルから出ているからなのか,とにかくあまり注目されないのがもったいないアルバムである。なんと言っても,Woody Shawのワンホーンが楽しめるという点がポイントが高い。
スタンダードでも,メンバーのオリジナルでも,テンポが速かろうが,遅かろうがここでのWoody Shawのラッパを聞いたらついつい感動してしまう。特にWoodyに捧げられたと思われる"Just a Ballad for Woody"におけるバラッド表現を聞いていると,目頭が熱くなる思いだ。ミュートで演じられる"In My Own Sweet Way"もリリカルでいいのである。バックを務めるトリオも控えめな助演に徹し,ここでのWoody Shawの魅力を際立たせている。こういう演奏を生で聞けたスイスの聴衆は幸せだと言いたい。
もっと世の中に知られてよいアルバムとして,星★★★★☆としよう。
Recorded Live in Zurich and Bern on February 7 & 8, 1987
Personnel: Woody Shaw(tp), Harold Henke(p), Neil Swainson(b), Tommy Deutsch(ds)
« Brad Mehldauの新譜,"Seymour Reads the Constitution!"を早速聞く。 | トップページ | Jerry Bergonziの吹くスタンダード。しみるねえ。 »
「ジャズ(2018年の記事)」カテゴリの記事
- 2018年の回顧:音楽編(その2:ジャズ)(2018.12.30)
- 買ってしまったDave BrubeckのColumbiaボックス。(2018.12.27)
- 年末になって届いたFred Herschの未発表ライブ音源がいいねぇ。(2018.12.25)
- 2018年の回顧:ライブ編(2018.12.24)
- 年末で記事の更新が滞ってしまった。ってことで,今日はECMのAndrew Cyrille作。(2018.12.23)
コメント
« Brad Mehldauの新譜,"Seymour Reads the Constitution!"を早速聞く。 | トップページ | Jerry Bergonziの吹くスタンダード。しみるねえ。 »
おはようございます.
私の記事へのコメント,(いつも)ありがとうございます.
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2025/04/27/190016?_gl=1*72pbm5*_gcl_au*NzQ5ODQxMzM2LjE3NDU4ODU0MzQ.
ショウの存在感,1980年頃は大きかったですよね.コロンビアでしたし,演奏も鋭く,で. その後の存在感が小さくなっていった,ということもあって,どうしても寂しい印象があるのですが.
1980年頃の高みからの印象なので,晩年の評価が下げ気味なのですが,十分素晴らしいですよね.改めて聴き直しています.
投稿: Ken | 2025年5月 4日 (日) 08時06分
Kenさん,こんにちは。リンクありがとうございます。
>ショウの存在感,1980年頃は大きかったですよね.コロンビアでしたし,演奏も鋭く,で. その後の存在感が小さくなっていった,ということもあって,どうしても寂しい印象があるのですが.1980年頃の高みからの印象なので,晩年の評価が下げ気味なのですが,十分素晴らしいですよね.改めて聴き直しています.
おっしゃる通りWoody Shawの活動のピークはColumbia時代だと思いますが,その後のアルバムも今にして思えば,そんなに悪くないと思います。本作なんて,地味で目立たないだけって気がします。もっと認知されて然るべきですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年5月 4日 (日) 13時46分