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2017年12月18日 (月)

中年音楽狂のNY夜遊び日記:その4(最終回)

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NYC出張もあっという間に終了ということで,最終日は更に夜遊びに力がはいってしまった私である。まず,最初に訪れたのが,ブルックリンにあるNational Sawdustなるヴェニュー。出演はFred Hersch's Pocket Orchestraである。私はFred Herschのかなりのファンであるが,このPocket Orchestraについては,Sunnysideからアルバムも出ているのだが,今回はレコーディング・メンバーとは異なるメンツでの出演であった。アルバムについては,ちょっと聞いた感じではピンと来ていなかったのだが,この編成での来日はまずありえないということで,FBで出演情報を仕入れて,日本で予約を済ませていたものである。

今回のヴェニューの最寄り駅はユニオン・スクェアから地下鉄L線に乗って,イースト・リヴァーを渡ってすぐの,Bedford Avenueである。降りた瞬間から,マンハッタンとは異なる街の風情を感じさせるのがブルックリンだと思ったが,昨今のブルックリンは以前に比べると,明らかに小洒落た感じがする街に変貌を遂げている。今回のNational Sawdustも入った瞬間から,おぉっと思わせる内装のホールであった。だが,キャパとしては80〜100人ぐらいというこじんまりとした場所で,Fred Herschのピアノを聞けることを至福と言わず何と言うという感じであった。しかも,ピアノはベーゼンドルファー。く〜っ。

そして,今回の演奏を聞いて,私が思い起こしていたのがAzimuthである。今回のレパートリーにおいても,Norma Winstonが作詞で協力していたこともあるが,パーカッションが加わっているとは言え,編成もAzimuthに近いこともあり,これはFred Hersch版のAzimuthではないかと思えるような演奏であった。私にとって嬉しかったのは,私が抱いていたPocket Orchestraのアルバムのイメージと異なって,非常にリリカルな演奏が展開されたことである。Fred Herschのピアノは美しいが,そこに切り込むIngrid Jensenのトランペットが素晴らしいアクセントになるという感じだったのだ。そして,ヴォーカルのAubrey Johnsonはスキャットを中心とした歌唱で,インプロヴィゼーションも交え,ジャズ的なフレイヴァーを加えていた。それがまた,Azimuth的に感じさせるのである。

とにかく,Herschのピアノの美しさにまいっていた私だが,面白かったと言うか興味深かったのが,聴衆に黒人が一人もいなかったことである。Herschの音楽を聞く層は,やはり白人中心ということなのかもしれない。だが,そんなことは関係なく大いに音楽を堪能した私であった。終演後,Herschの本を購入し,サインもしてもらったが,2月のCotton Clubでのライブを楽しみにしていると伝えて,会場を後にした。

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そこから2軒目として向かったのが,またもSmallsである。私が到着した時に演奏していたのはDuane Eubanksをリーダーとするクインテット。Robin Eubanksがゲストで加わったこのバンドは,オーセンティックなジャズの良さを感じさせるバンドで,聴衆の受けもよかった。ピアノのJames Hurtは肘打ちも交えて,大受けしていたが,技はしっかり持っている上でのライブならではのパフォーマンスという気がした。Robin Eubanksを生で聞くのは初めてだったが,さすがのテクニシャンぶりを感じさせてくれた。

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そして,NYC最後のパフォーマンスとして聞いたのが,Smallsにステイ・オーバーしての懐かしやOTBのRalph Bowenのクァルテットである。平日なら考えられないが、Smallsが入れ替え制を取っており,$20の余計な出費が必要だったのは予想外であったが,まぁいいや。

Ralph Bowenは大学教授みたいな風貌でテナーをメカニカルに吹いていたが,バンドのメンバーにも恵まれて,なかなか楽しめる演奏だったと思う。私が特に感心したのがベースのKenny Davisである。テクニック十分でありながら,歌心溢れるソロを聞かせるKenny Davisには思わず終演後声を掛けてしまった。それぐらい彼のベースはよかった。また,ピアノのJim Ridlは堅実ながら,いいソロを聞かせたし,ドラムスのCliff Almondはなんでも叩けるねぇって感じで,比較的コンベンショナルなセットでも十分にうまいところを聞かせてくれた。

ということで,ホテルに帰り着いたのは午前0時を過ぎていたが,十分にNYC最後の夜を堪能させてもらった。出張とは言え,これほど時間を有効に活用したのも珍しいということにしておこう。だからNYC出張はやめられないのである。

Fred Hersch‘s Pocket Orchestra Live at National Sawdust on December 16, 2017@7PM

Personnel: Fred Hersch(p),  Ingrid Jensen(tp), Aubrey Johnson(vo), Rogerio Bocatto(perc)

Duane Eubanks Quintet Live at Smalls on December 16, 2017@9PM

Personnel: Duane Eubanks(tp), Robin Eubanks(tb), James Hurst(p), Gerald Cannon(b), Chris Beck(ds)

Ralph Bowen Quartet: Live at Smalls on December 16, 2017@10:30PM

Personnel: Ralph Bowen(ts), Jim Ridl(p), Kenny Davis(b), Cliff Almond(ds)

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コメント

本日Fred Herschの本を読み終りました。とても面白いし、彼の音楽を理解するのに役に立ちました。なるほどと納得することが多かったです。Pocket Orchestraを聴けたとは貴重ですね。

カビゴンさん,こんばんは。NYCから戻り,これからソウルへ向かうためトランジット中です。

Pocket Orchestraが見られたのは本当にラッキーでした。演奏も素晴らしかったです。私も本は時間を掛けて読もうと思います。でも英語読むの遅くなってるんですよねぇ...。まぁ頑張ります。

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