中年音楽狂のNY夜遊び日記:その1

NYCに出張となれば,夜行性が高まる私としては,今回も初日から飛ばしてしまった。1軒目はSmallsでJochen Ruckertのクァルテットを見た。リーダーのRuckertはMarc Coplandとのトリオや自身のアルバムでも知られるが,今回はMark Turner(ts),Mike Moreno(g),Joe Martin(b)という魅力的なメンツであった。
このライブ,メンツもよければ演奏もよかったというのが実感だが,中でもMike Morenoのフレージングには感心させられた。コンベンショナルなリズムであろうが,変拍子であろうが,この人のフレージングは非常にコンテンポラリーな感覚が強く,しかも魅力的に感じられた。その他のメンバーも総じて好演であったが,Mark Turnerは指の怪我の影響を全く感じさせることなく,テナーを吹いていて安心した。また,演奏後,ベースのJoe Martinと話すチャンスがあったのだが,非常に紳士的な対応に好感度急上昇した私である。1stセットの最後に聞かせたベース・ソロも見事だったと付け加えておこう。
そこから2軒目として向かったのが,Avenue Cの9丁目と10丁目の間にあるNubluというヴェニューである。私がNYCに在住していた頃は行ってAvenue Aまでと言われて,必ずしも安全な場所とは言えなかった1st Avenueより更に東側のエリアである。正直言って,どこが入口なのか悩むような場所だったのだが,入ってみると内装は小洒落た感じである。オール・スタンディングのクラブって感じで,ジャズっぽさ皆無って感じなのだ。私が到着した時にはGraham HaynesがSynethtesiaというグループで超アンビエントな演奏をしていたのだが,聴衆が10人ぐらいしかいない。おい、おいとなってしまったが,私が聞きに行ったのはその次に出るJon CowherdのMercy Projectである。なんでと言われれば,そこにはドラムスにNate Smithが参加しているにほかならない。
結局,Jon Cowherdのグループが演奏を始めても,聴衆はせいぜい30人って感じだったが,ここでは実にいい演奏を聞かせてもらった。Nate Smithのドラムスはタイトこの上なく,ゾクゾクさせられるものだったが,リーダーのエレピから生まれるグルーブがカッコよかった。Brian BladeのFellowship Bandでの演奏とは随分違うと思わせたが,これも彼の音楽性の一つだろう。Steve CardenusはJohn PatitucciのElectric Guitar Quartetで聞いた時もよかったが,今回もいいフレーズ連発であった。これは本当に拾い物と言ってよいライブで,情報への目配りの大事さを感じさせる演奏だった。
ちなみに今回の演奏はNublu Jazz Festivalと銘打ったイベントの一つだった訳だが,この集客で大丈夫なのかと心配になりつつ,いい演奏が聞けたので文句はない。ということで,到着初日の夜も更けていったのであった。帰りには雪も降り出し,NYCの冬の厳しさを改めて体感。
尚,写真は上がSmalls,下がNubluでのものである。
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