Underground - クリポタ = Dice(笑)
"Dice" Adam Rogers(Agate)
Chris Potter Undergroundとしての活動は休業中のクリポタであるが,現行Undergroundの残り3人がAdam Rogersのリーダーシップのもとにアルバムを出した。その名も"Dice"。これはバンド名も兼ねているようである。
私はこのメンツにKevin Haysを加えたFima Ephron Groupのライブを昨年,NYCの55 Barで見ているが,その時には私は「クリポタがいないことにより,ややおとなし目の演奏だった」なんて書いている。まぁ,その時はFima Ephronがリーダーだったこともあるが,今回はどうか?その時の演奏が悪かったというのではない。ただ,セッション的な色彩が強く,ややルースに感じられたのは事実だったから,このアルバムのトーンについては不安がなかった訳ではない。
しかし,はっきり言ってしまえば,これはUndergroundの演奏を彷彿とさせるファンクネスに満ちた演奏であった。更に曲の途中でテンポが変わる様は,まるでWayne Krantzのようである。こういう音を出されては私のようなこの手のサウンド好きは何の文句もない。その一方で,ブルーズマン,Fred McDowellに捧げた"The Mystic"ではデルタ・ブルーズを想起させるような演奏を聞かせて,これも面白い。更になんとWillie Nelsonの"Crazy"もやっているが,この辺りは昨今のBill Frisellの方向性とも合致する部分があるのかもしれない。私にはこうした演奏はJoe Henryがプロデュースした作品のバックのギター・サウンドを想起させる部分があった。ルーツ・ミュージック的なのである。だが,彼らの演奏の本質的な魅力は,やはりファンク度が強い曲にこそ表れると思ってしまうのが,Undergroundファンの性というところか。
この演奏を聞いていると,こういう音は55 Barにピッタリだと言いたい。ここで聞かれるような演奏を,あの場所,あの空間で聞いていたら,確実に悶絶するだろうと思える演奏。甘いとは思いつつ,売れて欲しいので星★★★★☆。ついでに来日もしてくれぃ(無理か...)。それにしても,録音から3年近く経ってようやくリリースってのもどうなのかねぇ。やっぱり売れないのか(爆)。
ちなみにジャケ写真は"Grand Central 1990"というタイトルのもの。これもいいねぇ。
Recorded on October 17 & 18, 2014
Personnel: Adam Rogers(g, cl, b-cl, synth, org, el-p, perc, sample, loop), Fima Ephron(b), Nate Smith(ds)
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