これを聞くのはいつ以来か:Jack Wilkinsの"Call Him Reckless"
"Call Him Reckless" The Jack Wilkins Trio(Musicmasters)
私は結構長い間,Jack Wilkinsをフォローしてきた。それは彼が優れたテクニックを持ちながらも,全く注目されることがないことを不憫に思っていることもあるが,やはり彼がRandy Brecker,Eddie Gomez,そしてJack DeJohnetteと吹き込んだアルバムの印象が強かったからである。一般にはMichael Brecker入りの"You Can't Live without It"の人気が高いかもしれないが,私はそっちは買い損なってしまったので,この2枚をカップリングした"Merge"が出るまでちゃんと聞いていなかった。よって,私にとってのJack Wilkinsは前者がそのイメージを作り上げている。
そんなJack Wilkinsはその後も数は多くないが,リーダー作をリリースしているが,どれもイマイチ印象に残らない。起死回生を狙ったBrecker BrothersにEddie Gomez,Jack DeJohnetteというメンツで臨んだ"Reunion"というアルバムもあったが,それも印象薄では,本人には申し訳ないが,どうやったって人気が上がる訳がないのである。結局Jack Wilkinsがブレークしたって話は聞かないまま,彼ももはや古希を過ぎた。
そうは言っても,Jack Wilkinsのテクニックが大したものだったというのはこのアルバムでも明らかだ。サブタイトルに"Classics in Jazz"とあるように,スタンダードもやっているのだが,そこにWilkinsのオリジナルが3曲(1曲はドラマーのMike Clarkとの共作)加わるプログラムの中で,強烈なフィンガリングを聞かせる。そのうまさは誰しもが認めるものだと思うが,なんでこの人がもっと注目を浴びなかったのかについては,音楽より技が勝ってしまう部分があったからではないかと思う。サウンドがコンベンショナルな中,うまいことはわかっても,やはり地味なのである。結局のところ,共演者に恵まれれば,相応に注目されるのだが,本質的に共演者も地味なのがJack Wilkinsって人なのだと思う。
本来はギター・トリオというのは,ギタリストの実力を示すには最適なフォーマットのはずである。だが,Jack Wilkinsのギターは相応の響きながら,私にはここではMike Clarkがミスキャストだったように思えてならない。そもそもHeadhuntersで叩いていた人が,こういう音楽にはフィットしないだろうと思ってしまうのである。"Nardis"ではギターとドラムスのデュオのような展開に途中でなるのだが,ちっとも高揚感が得られないのは,ドラムスのプッシュが足りないように感じるのだ。タイトル・トラックはいきなりフュージョン(あるいはHeadhunters)・ライクなファンクになってしまうし。なんでやねん。Mike Clark共作だから仕方ないか。その後がWilkinsの多重録音によるBill Evans作"B Minor Waltz"で終了ってのは,どういうプロダクションやねん!と文句の一つも言いたくなる。
ということで,これはJack Wilkinsとしてはその技を見せたアルバムではあるのだが,音楽は技だけでは成り立たないということを感じさせる作品と言ってよいだろう。星★★★。なんかもったいないよねぇ。
Recorded in May 1989
Personnel: Jack Wilkins(g), Steve LaSpina(b), Mike Clark(ds)
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