Jaco全盛期の輝きを捉えた未発表音源。
"Truth, Liberty & Soul" Jaco Pastorius (Resonance)
貴重な未発表音源を次から次へとリリースするResonanceレーベルから出たアルバムには,注目に値するものが多いが,これまた強烈な音源があったものである。
これは米国の公共放送,NPRで放送された音源のソースを完全公開したものであるが,これまでブートなどで聞かれた演奏は一部の音源がオミットされた不完全版だったらしいが,これはその完全版ということで,長時間に渡って,Jaco Pastoriusの凄みを感じさせる演奏を聞ける貴重音源となっている。そもそも,これはKool Jazz Festival,場所はAvery Fisher Hallという,ジャズ・ミュージシャンにとっての晴れ舞台のような機会である。Jacoとしても燃えるのは当然だが,それにしてもこれは素晴らしい音源である。
正直言って,私は1984年にGil Evans OrchestraのゲストとしてLive under the Skyに出演したJacoを見て,完全に狂っていると思った(その音源に関する記事はこちら)が,この演奏はその2年前ぐらいのものであり,たった2年で人間はこんなにも変わってしまうのかと思わざるをえないし,何がJacoに起こったのかと改めて思ってしまう。私のように,Jaco Pastoriusというミュージシャンに特別の思い入れのない人間でも,天才を発揮した時のJacoの凄さはちゃんと感じられるつもりである。
例えば,本作の冒頭の"Invitation"のバックで弾けるJacoの演奏を聞いていれば,それだけで燃えるというのが普通の反応だろう。そして,ここに参加した強烈なメンツ(ホーン・セクションだけでも凄い名前が揃っている)による圧倒的なグルーブを聞かされてしまっては,84年の狂ったJacoのことは忘れることができるってものである。これは黙って聞いて,天才としてのJacoの演奏を認識すればいいということだろう。Disc 2の前半こそやや中だるみ感があるものの,この圧倒的な演奏には星★★★★★しかあるまい。よくぞ発掘してくれたというのが正直な思いである。
繰り返すが,私はJacoに対して特別な思い入れはない。しかし,そんな私でも,これは万人に勧めたくなるようなアルバムである。同じ年に日本で録音された"Twins I&II"に匹敵する名ライブであり,結局はこの年がJacoのピーク,あるいは最後に輝いた年だった。
Recorded Live at Avery Fisher Hall on June 27, 1982
Personnel: Jaco Pastorius(b, vo), Bob Mintzer(ts, ss, b-cl), Randy Brecker(tp), Othello Molineaux(steel ds), Don Alias(perc), Peter Erskine(ds), Toots Thielemans(hca), Bob Stein(as), Lou Marini(ts), Frank Wess(ts), Howard Johnson(bs), Randy Emerick(bs), Alan Rubin(tp), Leew Soloff(tp), Jon Faddis(tp), Ron Tooley(tp), Kenny Faulk(tp), David Taylor(tb), Jim Pugh(tb), Wayne Andre(tb), John Clark(fr-h), Peter Gordon(fr-h), David Burgeron(tuba)
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