Avishai CohenによるECM第2作もいい出来である。
"Cross My Palm with Silver" Avishai Cohen(ECM)
Avishai CohenがECMからアルバム"Into the Silence"をリリースしたことには驚かされたが,ECM的なサウンドになっていたのにも驚かされたのが昨年の早春のことである。それから約1年強のインターバルでアルバムがリリースされることは,Avishai CohenがManfred Eicherの審美眼に適ったってことだろうが,今回もECM的な魅力に満ちたアルバムとなっている。
そもそも私は,ラッパのワンホーンという編成が結構好きなので,それだけでもポイントが高いが,この静謐な中にも,相応のダイナミズムを共存させるAvishai Cohenのトランペットの響きには,心惹かれてしまう。こうした響きは,以前であれば,Thomaz Stankoあたりがこういう音を出していたかなぁなんて気もするが,最近彼のアルバムも聞いていないので,正しいかは自信がない(苦笑)。
それはさておき,ここでのAvishai Cohenのトランペットの響きが何とも魅力的に捉えられている。よくよく見れば,これもAaron Parksの新作同様,フランス南部にあるPernes-les-Fontainesという都市の,Studios Ls Buissonneなるスタジオで,Gerald de HaroとNicolas Baillardのコンビのエンジニアリングによって録音されている。ということは,今後はこのフォーメーションがECMの録音でも増えていくということなのかもしれないが,今回も見事なまでにECM的サウンドである。
Avisha Cohenを支える3人も,出過ぎたところなく,バックアップに徹している感覚もあるが,もし,Nasheet Waitsがバンバン叩いていたら,こういうサウンドにはなりえない。Fred HerschともやっていたWaitsのことである。ちゃんとわかっているってことだろう。全編を聞いても,一貫性が保たれていて,これはやっぱりよくできていると思う。星★★★★☆。
YouTubeに本作の予告編のような映像がアップされていたので,貼り付けておこう。映像で見るとまた別の印象を与えるねぇ。
Recorded in September 2016
Personnel: Avishai Cohen(tp),Yonathan Avishai(p), Barak Mori(b), Nasheet Waits(ds)
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かなり雰囲気が出ていていいですが、それはやはりこのメンバーによるところが大きいのでしょうね。静かな中でも時折饒舌なトランペットも良いし、モーダル的というのか、バックの少しドロドロ具合(?)もあまり懐古的ではないし、いい感じです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2017年5月17日 (水) 22時21分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
確かにモーダルなアプローチの中で,静謐な音場の中でAvishai Cohenの鋭いトランペットが響く瞬間はぞくぞくしますよねぇ。これってやはりマジカルなのではないかと思いますが,Eicherマジック炸裂ってところですかね。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年5月17日 (水) 22時50分