改めてEric Harland@Cotton Clubを振り返る
今年1月のCharles Lloydとの演奏でも素晴らしいところを聞かせたEric Harlandが自己のバンド,Voyagerで来日すると聞いたら,聞きに行かないわけにはいかない。彼らのデビュー作である"Live by Night"も大いに高く評価した私なので(記事はこちら),大いに期待をさせられての参戦となった。今回は"Live by Night"のメンツからJulian Lageを抜いたクァルテット編成であるが,Julian Lageはソロ・アルバムも出しているし,自身のバンドでCotton Clubにも出ていたから,まぁそれは仕方あるまい。
私が行ったのは金曜日の2ndセットということもあり,私が最近Cotton Clubに行った中では,極めて集客もよかった。大学のジャズ研の兄ちゃん風の聴衆も結構いるのは,ドラマー・バンドに共通しているように思える。Kendrick Scottの時もそういう感じがしたしねぇ。
これだけの集客であるから,ミュージシャン側としては機嫌よく演奏ができるはずであるから,ますます期待値が高まっていたが,いざ演奏が始まると,いかんともしがたい違和感を覚えていた私である。その違和感は,演奏そのものによるものではない。ライブの形態にである。彼らはアンコール前の約70分間,曲の切れ目なしに組曲風に演奏を続けたわけだが,これが聴衆側にとっては必ずしもよいことではないと思えたからである。
もちろん,ライブは演奏する側のイニチアチブのもとに行われることは異論はない。だが,一般的なジャズのライブの場においては,「合いの手」を入れたり,拍手や歓声を送ることによって得られるカタルシスもあるはずである。クラシックのコンサートにしろ,昔のKeith Jarrettの長大なソロにしても,聞く側もちゃんとそういう心構えができている中で聞くが,Eric Harlandのようなミュージシャンのバンドの場合,過度に聴衆に緊張を強いるのはどうなのかと思えてしまうのである。演奏の質は高かったと思えるだけに,やや聴衆との間にコミュニケーション・ギャップを感じさせるようなライブのスタイルは,少なくとも私にとっては好ましいと思えなかった。せっかくのライブなのだから,聴衆を楽しませることも重要だろう。
Eric Harlandのドラムスはタイトそのものでそれ自体は素晴らしい。Walter Smith IIIはフリーキーなトーンを交えながらのソロを聞かせたが,悪くはないとしても,もう少しフレージングに幅があってもいいと思わせる一方,Harish Raghavanのベースは,ステディでありながら,いい音を出していたのは収穫である。しかし,私が違和感を覚えながら,このライブでいいと思えたのがTaylor Eigstiのピアノである。Kendrick Scottとのライブでも非常に魅力的な演奏を繰り広げたTaylor Eigstiの繰り出すフレージングは,やや辟易としながら聞いていた私の耳を救ってくれたと思えるほどのナイスなものであった。美的なものとスリリングなものを両立させるピアノは本当に良かったと思える。
ということで,演奏の質は高くても,ライブのアンビエンスと両立できなかったことが,今回のライブを私が評価できない最大の理由である。少なくとも私の中では,ドラマー・バンドのライブとしてはKendrick Scott Oracleの圧勝に終わったと思う。期待値が大きかっただけに,やはり納得がいっていない私であるが,まぁ,クーポンを使って,チャージが半額だからよかったんだけど(苦笑)。
Live at Cotton Club on March 10, 2017, 2ndセット
Personnel: Eric Harland(ds), Walter Smith III(ts), Taylor Eigsti(p), Harish Raghavan(b)
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