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カテゴリー「ジャズ(2016年の記事)」の記事

2017年1月15日 (日)

Stefon Harrisの"Black Action Figure":滅多に聞かないが,なかなかいいねぇ。

"Black Action Figure" Stefon Harris (Blue Note)

_20170114保有しているのはわかっていても,滅多に聞かないアルバムってのは結構あるものである。本作もそんな一枚だが,「一軍」ラックに残っているってことは,それなりに評価していたってことになるはずだが,確認したところ,このブログにも記事を書いたことはないようだ。そもそも,どういうシチュエーションで購入したのかもよく覚えていたないが,多分中古でゲットしたものであろう。そして,おそらくその理由は,バックを支える面々であったはずである。

Greg Osby,Gary Thomasという所謂M-Base派に加え,Jason Moran,Steve Turre,Eric Harlandというメンツは魅力的に映ったはずである。ベースのTarus Mateenという人はどういう人だかわからないで買っているはずだが,Jason Moranのアルバムには何枚か参加しているようなので,ここはMoran人脈ってところか。

こういうメンツだし,プロデュースはGreg Osbyなので,まぁ新主流派+M-Baseみたいな感じだろうなぁと思って改めて聞いてみると,M-Base感はそれほど強く感じさせない,比較的真っ当なジャズ・アルバムであることに改めて気づく。そうは言いながら"Of Things to Come"のようにいかにもM-Base的なのもあるが...。

オリジナルに混ざって,"There Is No Greater Love"や"You Stepped Out of a Dream"のような大スタンダードが演奏されていることもそういう印象を強めているかもしれないが,M-Baseにありがちな変態変拍子は,ここではそれほど明確に現れてこないので,コンベンショナルなジャズを好むリスナーにとっても,抵抗は少ないと思われる。私のような雑食リスナーは,もう少しM-Base的なイケイケ感があってもよいように思えるが,演奏の質は相当高いので,文句は言うまい。

久しぶりに聞いて,その意外な良さを再認識させられたアルバム。しかし,このアルバムが吹き込まれたのももはや18年近く前って,本当に時の経つのは早いねぇ(苦笑)。星★★★★。

Recorded on February 14 & 15, 1999

Personnel: Stefon Harris(vib), Tarus Mateen(b), Eric Harland(ds), Steve Turre(tb), Gary Thomas(ts, a-fl), Greg Osby(as), Jason Moran(p)

2016年12月30日 (金)

2016年の回顧:ジャズ編

今年の回顧もこれが最後である。恒例に従い,今年も最後はジャズで締めることにさせて頂こう。

Charles_lloyd今年もいろいろなアルバムが出た中で,私の中でECMレーベルの作品が大きな位置を占めていることは間違いないが,実はECM以外の作品が私の中では今年の第1位である。それはCharles Lloydの"I Long to See You"である。私はこのアルバムを聞いた瞬間,電撃のようなものが走ったと言ってもよいぐらいなのだが,このアルバムに込められたメッセージ性が私を大いに感動させてくれたと言える。その感覚が忘れられない。このアルバムを吹き込んだメンバー(Greg Leiszを除く)で来日することがアナウンスされた時,私はすかさず予約したのであった。ライブでどういう演奏を繰り広げるのかも楽しみであるが,このアルバムで聞かせてくれた世界を再現してくれることが今から待ち遠しい。

I_wish_i_knew感動度という観点では,五十嵐一生と辛島文雄のデュオ作"I Wish I Knew"を忘れてはならない。このアルバムを聞いて,私はこのブログに「激しさはないが,その代わりに,何とも言えない滋味,味わいがある。闘病中の辛島を気遣う五十嵐というところもライナーからは感じられたわけだが,辛島文雄が生み出す音楽は,ミュージシャンとしての気魄を感じさせるものとなっていて,それが感動を誘うと言いたい。」と書いたが,あまりに感動してライブも見に行ってしまったぐらいである。ライブも素晴らしかったが,今年,最も印象に残っているアルバムの一枚と言ってよい傑作。

Carla_bleyそして,ECMレーベルである。私のブログの右側には★★★★☆以上の新譜を推薦盤として掲示しているが,ここにどれだけECMレーベルの作品が載っているかを見て頂ければ,私のこのレーベルへの信頼度がわかるというものである。裏を返せば,ECMがApple Musicのようなストリーミングに対応していないので,ディスクを買わざるを得ないということもあるわけだが,それでもこれだけ上質な音源を出されては文句はない。

その中でも特に感動的だったのがCarla Bley~Andy Sheppard~Steve Swallowの"Andando el Tiempo"と菊地雅章の"Black Orpheus"の2枚である。前者については,同じメンツによる前作"Trios"も高く評価した私であるが,本作はそれさえ上回ると思わせた深遠な美学を大いに評価したい。

Kikuchi菊地雅章の"Black Orpheus"は,亡くなった菊地雅章をManfred Eicherが追悼する意味を込めてリリースしたと思っているが,実際の菊地のピアノの音からECM色に染まったものとしていることに批判もあるのは承知で,記事にも書いたように,『超スロー・テンポで演じられるタイトル・トラックの「黒いオルフェ」の放つ音の深みを聞けば,身じろぎもせずにこの音楽に対峙しなければならないと思わされてしまう。』という感覚を与えるに十分な感動作である。私はむしろECM的な音響処理によって,音楽としての訴求力は高まったと考えているクチである。

Multitude_of_angels今年のECMではこの2作がダントツだと思っているが,Tord Gustavsenの"What Was Said"も素晴らしかったし,Vijay IyerとWadada Leo Smithのデュオ"A Cosmic Rhythm with Each Stroke"も優れた作品だった。そして忘れてならないのはKeith Jarrettが病魔に倒れる前に残していた音源集"Multitude of Angels"である。これらの作品はECMレーベルの凄さを感じさせるに十分なものであった。とにかく,出てくる音源の質の高さは驚異的であり,当然のことながら"Label of the Year"はECMをおいてほかにない。

加えて,今年,私にとって嬉しかったのはBrad Mehldauのアルバムが2枚リリースされたことである。トリオ作"Blues and Ballads"は,まぁこの人たちとしては水準の出来とは思うが,求めるレベルが違うだけに彼らも大変である(笑)。アルバムの質としてはJoshua Redmanとのデュオ作"Nearness"に軍配が上がると思うが,ほぼ同質の演奏を東京のライブでも聞かせていたのだから,やはりこの人たちはレベルが高い。そのほかにもWarren WolfやWolfgang Muthspielのアルバムへの客演が聞けたので,Mehldauの追っかけとしてはかなり充実した1年だったと言えるかもしれない。来年早々には,Punch BrothersのChris Thileとのデュオ作が控えており,来年もBrad Mehldauからは目が離せない。

今年は発掘音源にも,Jim Hall~Red Mitchell,Stan Getz,Bill Evans等,いいものが多かったし,新作でもFred Herschが相変わらず優れた作品を届けてくれて,なんだかんだ言いながら充実した1年だったように思う。Fred HerschはCotton Clubにおけるライブが素晴らしかったのもいつも通り。また来年(次はソロだな...)も来てくれることを祈りたい。

こうして見てみると,今年の私のチョイスにはあまり刺激的な音源が入っていないことがわかるが,私はそっち方面は完全にライブで補っているってことで...(笑)。来年3月のChick Coera Elektric Bandのライブに行こうとしているのはその証。

2016年12月23日 (金)

ジャズ界の若年寄,Scott HamiltonのFamous Door作。懐かしいねぇ。

"Swinging Young Scott" Scott Hamilton(Famous Door)

_20161222Scott Hamiltonと言えば,1970年代後半というフュージョン全盛期に現れた,モダン・スウィングの救世主みたいに言われたものである。デビュー時は22,3歳だったはずで,サウンド的にはまさに「若年寄」と呼ぶのが適切なものであった。Famous Doorから出た本作と,Concordから出た"Is a Good Wind Who Is Blowing Us No Ill"とどっちが本当の初リーダー作なのかは不明だが,そんなことはどうでもええわと思わせる軽快なスウィング・アルバムである。

私がジャズを聞き始めた頃に,Scott Hamiltonはシーンに登場してきた訳だが,当時はモダン・スウィングの魅力を理解するには私は若過ぎた。しかし,年齢を重ねると,こういう音楽に対する愛着が湧いてくるのである。そもそも私の好きなFamous Doorレーベルだし,ドラムスはButch Milesが叩いているのだから,悪いはずがないのである。

出てくる音楽は,「ほんまにこの人,この時22,3?」みたいな若年寄感が満載であるが,共演者の好演もあって,非常に楽しめるアルバムだが,それにしてもScott Hamiltonである。どうやったらこの年齢でこの音楽性が身につくのかと思えるほどの渋さである。

まぁ,私はこのアルバムはLPも保有しているのだから,わざわざCDで買わなくてもよかったのだが,やはり気軽にプレイバックできるのと,ボートラに魅かれての購入であったが,それにしても軽妙洒脱とはこのことだと改めて思った。ジャズの楽しさってのを認識できるアルバムであって,小難しい顔をしながら聞くような音楽ではない。甘いの承知で星★★★★☆としてしまおう。再発されたのも今年なので,ついでに新譜扱いとさせて頂こう。しかし,こんなものまで再発してしまう日本って凄いよねぇ(笑)。

Recorded in 1977

Personnel: Scott Hamilton(ts), Warren Vache(tp), John Bunch(p), Michael Moore(b), Butch Miles(ds)

2016年12月19日 (月)

2016年の回顧:ライブ編

年の瀬もだいぶ押し詰まってきて,そろそろ今年の回顧をしなければならない時期となった。今年,もう行く可能性がないのはライブなので,まずはライブの回顧からしたいと思う。

ここ数年,私がライブに出掛ける回数が増えていて,一昨年,昨年は22本ずつ行ったが,今年はそれを上回る25本ということになった。これはNYCに2回出張して,各々3回ずつライブを見たのが大きいと思うが,それにしても月2本以上行っていることになるから,結構な頻度なのは間違いない。まぁ,その分,CDを買う枚数は大きく減少しているから,まぁいいってことにしよう。

そして,今年もいろいろなライブに行ったわけだが,回数からすれば,Wayne Krantzである。NYCで2回,東京で1回の都合3回見ているわけだから,私も好きだなぁと思うが,いつも興奮させてくれるので,Krantzは見るに値する人なのである。東京での客入りの悪さは本当に同情したくなるレベルだったが,その分,NYCでの大人気ぶりを見て,安堵した私である。そして,今年最後のライブとなった55 BarにおけるKrantz~Lefebvre~Carlockの凶暴なライブは,出張先での最後の夜を記憶に残るものにしてくれた。ということで,MVPはWayne Krantzである。

一方,今年最高のライブと思えたのはPatti Smithのビルボードでのライブであろう。私は従来からPatti Smith教の信者であると書いてきたが,彼女の歌の持つパワーは半端ではなく,ライブの場で本当に涙してしまったのである。そして,彼女と一緒に歌った"People Have the Power"の記憶は今でも鮮明だ。今,思い出しても,感激に打ち震えるだけのライブだったと思う。

それに次ぐのがBen Wattだろうか。非常にインティメートな環境で聞くBen Wattの音楽は非常に瑞々しく,バンドもタイトな演奏で楽しめるものであった。

もちろん,このほかにもFred Hersch Trio,Joshua Redman~Brad Mehldau,Billy Childs,Jeff Lorber Fusion,五十嵐一生~辛島文雄,Pat Metheny,Mike Stern,Egberto Gismonti等,素晴らしいライブは何本もあった。しかし,いろいろな点を考慮して,どれがよかったかと言えば,Patti Smith,Ben Watt,Wayne Krantzってことになると思う。さすがにPatti SmithのBillboardでの映像はないが,ノーベル賞のセレモニーで歌った"A Hard Rain's A-Gonna Fall"の映像(歌詞を忘れるPatti様)と,私がスマホで撮影したWayne KrantzとBen Wattの映像を貼り付けておこう。Krantzは不完全ながら結構激しい(このKeith Carlockを見よ!),Ben Wattの方は,ほぼ1曲"Nathaniel"を完全に撮影できている。こちらは当ブログでは初公開のものだが,お楽しみ頂ければ幸いである。

 

 

2016年12月16日 (金)

ECM「積んどく」シリーズの4枚目はFerenc Snétberger。

"In Concert" Ferenc Snétberger(ECM)

Ferenc_sntbergerちょっと間があいたECM未聴盤の掘り起こしシリーズの4枚目。Ferenc Snétbergerって記憶にある名前だと思っていたら,Enjaから出たベスト盤は保有しているはずだが,現在行方不明(爆)。件のアルバムは,店頭かどこかで聞いて購入したものの,一軍を張るまでは行かず,今や二軍にも入っていないのだから,私の審美眼もいい加減なものである。

それはさておきである。本作はFerenc Snétbergerがブダペストにおいて,ライブ・レコーディングしたソロ作であるが,アルバムの曲名が"Budapest Part I-VIII"となっているところからすると,Keith Jarrettのように完全即興で臨んだ作品と考えていいのだろう。ついでにアンコールが"Over the Rainbow"ってところからしても,Keithの世界をギターでやろうとしたように思える。だが,Keith Jarrettのような緊張感というよりも,より開放的な感じで,曲調も親しみやすいものとなっているのが特徴的。

非常に聞きやすいアルバムなので,Keith Jarrettのアルバムと同列に扱うことはできないし,ある意味,この人の出自を考えれば,これぐらいは楽勝でできてしまうのではないかという感覚があるのも事実である。ということで,高く評価することはないとしても,悪いアルバムだということでは決してない。逆にこんなに即興的に弾けてしまうということに,なんちゃってギタリストの私としてはジェラシーを感じざるを得ないと言っておこう。星★★★☆。

Recorded Live at Liszt Academy, Budapest in December 2013

Personnel: Ferenc Snétberger(g)

2016年12月14日 (水)

中年音楽狂のNYC夜遊び日記(番外編):クリポタとの遭遇

Chris_potter_and_i_mosaic本日は番外編として,偶然Chris Potter(クリポタ)と遭遇した時の話である。それは12/7のBlue NoteでのChick CoreaとJohn McLaughlinのデュオがはねて,さてタクシーでホテルに帰るかと外に出て,6th Avenue側に向かった時のことである。

私と一緒にいた友人が「クリポタ,クリポタ」と前に歩く男性2人の右側のサックス・ケースを下げた男性の方を指さす。確かにサックス・ケースには,Dave Hollandとの新作"Aziza"のジャケット・デザインのキーホルダーのようなものが下がっている。私は半信半疑だったのだが,聞くのはただ(笑)ってことで,まずは"Hey, Chris"と声を掛ける。その男性が反応したので"You are Chris Potter, Right?"とすかさず聞くと,おぉっ,確かにクリポタではないか。何たる偶然。

それでもって,なんで今頃こんなところを歩いているのかと,"Did you play somewhere tonight?"と聞いたら,"Bar Next Door just around the corner."と言うではないか。事前に情報収集に余念のなかった私は,当然??となったわけだ。その時ははっきり覚えていなかったが,当日のBar Next DoorはJonathan Kreisbergのトリオが出演とWebに書いてある。何も行くものがなかったら,Kreisbergは見るに値すると思っていたが,Chick CoreaとJohn McLaughlinのデュオを予約済みであったので,そちらは今回はノーマークだったわけだ。おそらくは急きょのゲスト出演だったと思うが,それにしても惜しかったなぁと思わされた一瞬である。

ってことで,せっかくのチャンスなので,クリポタとの2ショット写真を撮影である。ついでに,"Why don't you visit Japan once again with Underground?"と言ったら,"If someone invites us."と言っていた。最近はUndergroundでの活動は抑制気味のクリポタであるが,別のバンドでも何でもいいから呼んでくれる人間はいないものか?と思ってしまった一瞬であった。

いずれにしても,クリポタで道にばったりなんてのが,いかにもNYCらしいところである。撮影場所は知っている人は知っているだろうが,West 3rdと6th Avenueのコーナーにあるバスケット・ボール・コートの前である。私の顔にはモザイクをかけるが,いい顔で笑っているわ。それにしても,クリポタが小柄なのには驚いた。どうやったらあんなにパワフルなプレイができるのやら...。

2016年12月13日 (火)

中年音楽狂のNYC夜遊び日記(3):最後の夜はWayne Krantz@55 Bar。

Wk_at_55_bar

NYC出張中のジャズ・クラブ行脚も最終回である。55 Barという店は,なかなかWebサイトを更新してくれないので,誰が出るのかなかなかわからない状態が続いていたのだが,出張1週間ぐらい前になって,ようやくサイトが更新され,帰国前日の12/8にWayne Krantzが出演することがわかり,小躍りしていた私である(爆)。しかもメンツはTim Lefebvre,Keith Carlockの最強,最凶トリオなのだ。これは何を置いても行かねばならない。

55_bar_3ということで,ライブは22時過ぎからなので,余裕を見て私が店の前に着いたのが21時ぐらいだったはずだが,その段階で長蛇の列ができているではないか。前回,NYCに来た時もKrantzのライブは見ているが,その時も人気ぶりには驚かされた(記事はこちら)。あれは決して偶然ではなかったのだ。そして,今回は若干出遅れたと見え,結局1stには入ることができず,店の外で寒風に耐えながら,かすかに聞こえてくるリズムに合わせて足を動かし,身体を温めていた私である。

そして外で待つこと約2時間(マジで寒かった),店内に入って,今回はテーブルをゲット。待っている時間に,立ち話をしていた現地のベーシスト,Jamesと一緒に演奏に臨んだのだが,まさに最強,最凶。今回のNYC滞在におけるハイライトはこの時の演奏だったと断言できる強烈さであった。相変わらずの突然のリズム・チェンジ,メロディ・チェンジの連発,三者三様の暴れっぷりに,もはや私は待っている間の寒さも忘れ,興奮の坩堝へと導かれたことは言うまでもない。こんなライブを眼前でやられれば,人気が出るのが当たり前だと言っておきたい。

Wayne_krantz_i_mosaicTim Lefebvreは最近はTedeschi Trucks Bandのベーシストを務めていて,通常は彼らのツアーに同行しているのだが,TTBの年内ツアーが終了して,こっちに参加できるタイミングに遭遇したのはラッキーだった。Wayne Krantzは最近55 Barのレギュラー出演を再開(一時期,全然出ていなかったはず)していて,だいたい毎週木曜日に出るのが通常パターンである。今回も告知はなかなか出かったが,日本にいるときから,もしかしたら...と期待していたのが,実際見られたというのは本当に嬉しかったし,最高であった。願わくば1stから入りたかったところだが,Rockfeller Plazaのツリー写真を撮りに行って,時間を使ってしまったのは失敗だったかなぁと思いつつ,まぁ聞けただけでもよしとする。

Keith_carlock_i_mosaic_4実は,今回もWayne KrantzのCDを持って行っていたのだが,ホテルに置き忘れるという失敗をしてしまった私だが,せっかくなので,Wayne KrantzとChris Carlockのそれぞれとの2ショット写真を撮ってもらった。モザイクで隠しているが,特にKrantzとのショットは我ながらいい笑顔である。演奏を聞いての満足感が如実に表れているな。ついでにその時に,先日の東京でのライブの話もしたのだが,あまりの客入りの悪さに気を悪くしていないか聞いたのだが,まぁあれはあれで仕方ないよと言ってくれたのにはほっとした。私からは「わかっている人にはわかっているから,あれに懲りずにまた来てね」と言っておいた。

だが,Wayne Krantzという人は,日本のこじゃれたライブ・ハウスで見るよりも,NYCに来て,55 Barで聞くのが一番いいのだということを改めて痛感した私である。そうは言っても,それが難しいのはわかっているので,Krantzが来日したら必ず行くというスタンスは維持し,少しでも彼の音楽をサポートしたいと思った私である。NYC最後の夜を飾るに相応しい夜であった。最高以外の表現が思い浮かばない。その気持ちは下の映像を見たもらえばわかるはずだ。

結局,Krantzたちとの立ち話もしていて,ホテルに帰り着いたのは午前2時,その後の記憶は朝までない(笑)。

Live at 55 Bar on December 8, 2016, 2ndセット

Personnel: Wayne Krantz(g), Tim Lefebvre(b), Keith Carlock(ds)

2016年12月12日 (月)

中年音楽狂のNYC夜遊び日記(2):Chick Corea &John McLaughlinデュオ@Blue Note

Chick_and_john_at_blue_note今回のNYC出張中のライブで,事前に予約をして行ったのがこれである。12/6付の記事にも書いた通り,本当ならば,12/8のReturn to Forever Meets Mahavishnuというエレクトリック・プログラムの方に行きたかったのだが,その時点でそちらはソールド・アウトとなっていた。よって,まだ空きがあったこちらの2ndセットを予約していったのだが,結果的に見れば,12/8に行けていたとしたら,Wayne Krantzが見られないことになってしまっていたから,それはそれでよかったということにしたい。

この2人は5 Peace Bandでの活動もあったし,デュオも以前リリースされたJohn McLaughlinのモントルーのライブ・ボックス(17枚組)の一部として音源は存在するが,なかなかない組み合わせだけに,当日のBlue Noteも開場を待つ長蛇の列が形成される人気ぶりであった。私は比較的早い時間に到着したので,待ち行列では7-8番目ぐらいだったが,ちょっと遅れていたら大変なことになっていた(笑)。

実は私がNYCのブルーノートに行くのはかなり久しぶりのことである。前回行ったのがいつなのかも覚えていない。私はこの店の「商売っ気」や運営ポリシーが嫌いで,できることなら行きたくない店なのだが,今回は例外と捉えてもらえばよい。だが,今回も店に入って,どうしてここまでテーブルの間隔が狭いのか理解できないほどの詰め込みぶり,更にはMusician's Guestsを優遇し過ぎの座席案内等,全然"First Come First Served"ではないではないかと思わせ,全く運営は改善できておらず,やっぱりよほどのことではないと「行きたくない」店だと改めて思ってしまった。まぁ,それはChick Corea~John McLaughlinの責任ではないとしても,やっぱりこの店,嫌いである。同じブルーノートでも東京の方がはるかにましである。ちなみに,私たちの案内されたテーブルに隣接する4人用のテーブル(ステージ側)はChick Coreaのゲスト用テーブルであったが,結局2人しか来ず,私としては視界を邪魔されなかったのはよかったが,それでもやっぱりなってない。ウェイトレスは比較的まともなだけに,もう少し何とかならないものかと敢えて言っておこう。

それはさておきである。Chick CoreaとJohn McLaughlinのデュオなので,私としては当然,McLaughlinはアコースティックでプレイするものと思っていたが,当日はエレクトリックで登場したのは意外であった。そして更に意外だったのが,演奏したのがほとんどがスタンダードだったということである。例外はMahavishnu Orchestraの"Inner Mounting Frame"からの"A Lotus on Irish Streams"だけだったのは本当に意外としか言いようがない。まぁ,これなら正直リハーサルしなくてもできるよなって感じだった。冒頭は"On Green Dolphin Street"からスタートであるが,正直言ってどうもルースな印象がして,まずはウォームアップって感じが強かったが,徐々に調子が出てきたって感じか。当日のセットリストは下記のようなものだったはず。これを見れば多くの人も意外だと思うだろう。

1. On Green Dolphin Street
2. Stella by Starlight
3. All Blues
4. Naima
5. A Lotus on Irish Streams
6. Bemsha Swing
7. My Foolish Heart
8. Solar
9.(Encore) Someday My Prince Will Come

最後の"Someday My Prince Will Come"にはChickの奥さん,Gayle Moran Coreaもジョインしての演奏となったが,スタンダードを弾いても,随所にMcLaughlinの彼らしいフレーズが現れてしまうのが結構笑えた。しかし,どうもこういう曲では,McLaughlinらしいハードな感覚は得にくいとしても,もう少し緊張感があってもいいだろうと思えた。演奏にはほぼ満足しつつも,一方でやや残念に思っていた私である。今,私は前述のモントルーでのデュオ・ライブ(1981年)を聞きながらこれを書いているが,美的な感覚においても,緊張感においても,そちらの方が上に感じてしまったのは告白しておかねばなるまい。

まぁ,今回の演奏はChick Coreaの生誕75周年記念のライブ・シリーズの一環としてのお祭り企画であるから,固いことは言うまい。見られただけでOKと言うべきものということにしよう。と言いつつ,私としては来年3月のElektric Bandでの来日により期待を掛けているってのが正直なところだが(苦笑)。

Live at Blue Note NYC on December 7, 2016, 2ndセット

Personnel: Chick Corea(p), John McLaughlin(g), Gayle Moran Corea(vo)

2016年12月11日 (日)

中年音楽狂のNYC夜遊び日記(1):Nir Felder@55 Bar

Nir_felder_at_55_bar

今回のNYC出張では,初日は渡航前からの風邪で具合がイマイチで,本当は狙っていた55 BarでのAdam Rogersを見逃したものの,2日目から4日目は仕事が終わってから,クラブへ駆けつけるというパターンとなっていた。

今回は宿泊先が珍しくもブルックリンだったので,そうなると当然,クラブもミッドタウンよりもダウンタウンということになり,今回は3夜連続のヴィレッジ通いとなった。その一発目に選んだのが,ギタリストNir Felderの55 Barでのギグである。最近,注目度が上がっているNir Felderとは言え,今回,私がチョイスした理由が,Felderには悪いが,バックを支えるのがAri HoenigとMatt Penmanだということである。実はこの日の55 Barは19時からのアーリー・セットにはBen Monderがトリオで出ていて,こちらも興味津々だったのだが,どうしても時間的に無理なので,22時からのNir Felderのトリオに参戦したのであった。

この日のチャージは$10で,2セット続けて聞いても追加のチャージはないという格安ライブなのだが,55 Barの場合,2ドリンク・ミニマムなので,ドリンク合わせても$35ぐらいで済んでしまうのだ(私はこの日はウイスキー3杯)。チャージの設定からして,Nir Felderの現在のポジションがわかるってもんだが,アルバムを出していても,この値段で聞けてしまうのだから,いい街である。聴衆は,1stセットが30人いたかいないか,2ndは20人ぐらいって感じだと思うが,その程度聴衆でも,一切手抜きはなしである。

_20161210今回,彼らのライブに行くことはほぼ確実と思っていたので,日本からCDを持参していた私である。相変わらず,そういうところはマメなのだが,予習のつもりで日本でこのCDを聞いていた感覚と,ライブの感覚では結構違いがあったように思える。アルバム自体は悪いとは思わないのだが,もう少しダイナミズムがあってもいいかなと思える部分もあった。しかし,ライブではAri Hoenigの煽りが効いていた部分もあるが,私にはアルバムよりはるかによく聞こえていた。大半はアルバムからのオリジナル中心だったと思うが,それらはいかにも現在のNYCらしい,変拍子を多く含んだ曲が多い。楽譜と首っ引きでもちゃんと叩くアリホニに感心しながら,そのタイトさには興奮していた。そこに挟まって演奏されるバップ・チューンがまた普通ではないのである。何せアリホニですから,普通になるわけはないのである(笑)。

_20161210_2Nir Felderは作曲も,フレージングも面白いのだが,それに加えてカッティングの切れ味がいいなぁと思っていた私である。ライブ後にちらっと話をしたところ,風邪をひいているらしく,体調はイマイチだったようだが,そんなことを感じさせない演奏だったと思う。それを支えるMatt Penmanも,アコースティック・ベースでよくもまぁ,あの変拍子や8ビートを弾きこなすものだと感心しきりの私であった。そして,アリホニである。まじでタイトかつ強烈。ドラムス・ソロなんて本当に凄かった。

ということで,本日は当日のライブの模様の写真と,戦利品の写真をアップする("Gloden Age"にはFelderとPenman,James FarmにはPenmanのサイン)が,やっぱり聞ける音楽のレベルが高いよねぇとつくづく思わされたライブであった。そして,Nir Felderのナイス・ガイぶりには本当に嬉しくなってしまった(サインを見てもらえればわかる)。

Live at 55 Bar on December 6, 2016,1st & 2ndセット

Personnel: Nir Felder(g), Mat Penman(b), Ari Hoenig(ds)

2016年12月10日 (土)

中年音楽狂のNYCナイト・ライフ(笑)

Img_6035

今週1週間は今年2度目のNYC出張であった。最近は海外より,国内対応が多く,以前ほど海外に出ることは少なくなった私だが,今年は年初のシカゴから始まり,NYC,ジュネーブ,ロンドン,シンガポール,そしてNYCと6回も渡航するとは思ってもみなかった。

仕事は仕事としてこなした私だが,今回は渡航前に風邪をひいてしまい,咳が止まらず最初はどうなることかと思った。初日は体調がすぐれず,夜遊びは封印し,食事もせずに,デスクワークをこなしながら,部屋で寝ているという状態で,狙っていたAdam Rogersを聞けなかったのは残念であった。しかし,2日目からは55 Bar〜Blue Note〜55 Barと夜な夜な繰り出した私である。

各々見たのは,Nir Felder with Matt Penman & Ari Hoenig,Chick Corea & John McLaughlin,そしてWayne Krantz with Tim Lefebvre & Keith Carlockというラインアップであったが,それぞれについては別途記事にすることにするとして,びっくりしたのはBlue Noteの演奏が終わって帰ろうとしたら,ギグが終わって帰るところのChris Potterにばったり遭遇したことである。こういうことが起こるのがNYCらしい。クリポタが出演するのを知っていたら,そっちも絶対行っていたのにと思ったが,本人に聞いたところによると,Bar Next Doorに出ていたということだったが,その日はJonathan Kreisbergのトリオの出演予定としか書かれていないから,飛び入りのシットインだったってことだろう。

もう一つのびっくりはWayne Krantzの大人気ぶりである。1月に来た時にも感じたことだが,KrantzのNYCでの人気は日本では想像できないレベルである。おかげで,私は1stセットには入れず,寒風吹きすさぶ中,外で2時間待つということになってしまった。それでも待つに値する演奏を聞かせてもらったので,よかったと思っている。

ということで今日はWayne Krantzのギグの模様をアップしよう。やっぱりNYCは最高の街だと改めて思った4日間であった。ということで,次は日本から。

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