中年音楽狂のNYC夜遊び日記(1):Nir Felder@55 Bar
今回のNYC出張では,初日は渡航前からの風邪で具合がイマイチで,本当は狙っていた55 BarでのAdam Rogersを見逃したものの,2日目から4日目は仕事が終わってから,クラブへ駆けつけるというパターンとなっていた。
今回は宿泊先が珍しくもブルックリンだったので,そうなると当然,クラブもミッドタウンよりもダウンタウンということになり,今回は3夜連続のヴィレッジ通いとなった。その一発目に選んだのが,ギタリストNir Felderの55 Barでのギグである。最近,注目度が上がっているNir Felderとは言え,今回,私がチョイスした理由が,Felderには悪いが,バックを支えるのがAri HoenigとMatt Penmanだということである。実はこの日の55 Barは19時からのアーリー・セットにはBen Monderがトリオで出ていて,こちらも興味津々だったのだが,どうしても時間的に無理なので,22時からのNir Felderのトリオに参戦したのであった。
この日のチャージは$10で,2セット続けて聞いても追加のチャージはないという格安ライブなのだが,55 Barの場合,2ドリンク・ミニマムなので,ドリンク合わせても$35ぐらいで済んでしまうのだ(私はこの日はウイスキー3杯)。チャージの設定からして,Nir Felderの現在のポジションがわかるってもんだが,アルバムを出していても,この値段で聞けてしまうのだから,いい街である。聴衆は,1stセットが30人いたかいないか,2ndは20人ぐらいって感じだと思うが,その程度聴衆でも,一切手抜きはなしである。
今回,彼らのライブに行くことはほぼ確実と思っていたので,日本からCDを持参していた私である。相変わらず,そういうところはマメなのだが,予習のつもりで日本でこのCDを聞いていた感覚と,ライブの感覚では結構違いがあったように思える。アルバム自体は悪いとは思わないのだが,もう少しダイナミズムがあってもいいかなと思える部分もあった。しかし,ライブではAri Hoenigの煽りが効いていた部分もあるが,私にはアルバムよりはるかによく聞こえていた。大半はアルバムからのオリジナル中心だったと思うが,それらはいかにも現在のNYCらしい,変拍子を多く含んだ曲が多い。楽譜と首っ引きでもちゃんと叩くアリホニに感心しながら,そのタイトさには興奮していた。そこに挟まって演奏されるバップ・チューンがまた普通ではないのである。何せアリホニですから,普通になるわけはないのである(笑)。
Nir Felderは作曲も,フレージングも面白いのだが,それに加えてカッティングの切れ味がいいなぁと思っていた私である。ライブ後にちらっと話をしたところ,風邪をひいているらしく,体調はイマイチだったようだが,そんなことを感じさせない演奏だったと思う。それを支えるMatt Penmanも,アコースティック・ベースでよくもまぁ,あの変拍子や8ビートを弾きこなすものだと感心しきりの私であった。そして,アリホニである。まじでタイトかつ強烈。ドラムス・ソロなんて本当に凄かった。
ということで,本日は当日のライブの模様の写真と,戦利品の写真をアップする("Gloden Age"にはFelderとPenman,James FarmにはPenmanのサイン)が,やっぱり聞ける音楽のレベルが高いよねぇとつくづく思わされたライブであった。そして,Nir Felderのナイス・ガイぶりには本当に嬉しくなってしまった(サインを見てもらえればわかる)。
Live at 55 Bar on December 6, 2016,1st & 2ndセット
Personnel: Nir Felder(g), Mat Penman(b), Ari Hoenig(ds)
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