ほぼ同時代の人々の曲を演奏するZsófia Borosが今回も素晴らしい。
"Local Objects" Zsófia Boros (ECM New Series)
彼女のECM New Seriesにおける第1作"En Otra Parte"を聞いた時にも,一聴して虜になってしまった私である(記事はこちら)が,今回の新作も非常にいい出来である。
そもそも前作もそのレパートリーの幅広さが目立っていた彼女であるが,今回もほぼ同時代の作曲家,ミュージシャンの作品を取り上げていて,かつ,それが様々な国の人たちであるところから,"Local Objects"というタイトルがつけられたものと想像する。Mathias Duplessyはフランス,Egberto GsimontiとGaroto(Anibal Augusto Sardinha)がブラジル,Carlo Domeniconiがイタリア,Jorge Cardosoがアルゼンチン,Al Di Meolaはアメリカ,Franghiz Ali-Zadahがアゼルバイジャン,Alex Pinterがオーストリアと言った具合なのだ。そして,故人はGarotoだけということで,半端ではない選曲と言ってよいだろう。
彼女が弾いているのはクラシック・ギターであるから,サウンド的には決してジャズ的ではない。一応,今回は現代音楽にカテゴライズしたが,現代音楽が持つ難解さ,訳の分からなさ(笑)は皆無であり,ギターの美しい音色と,メロディ・ラインを楽しめばいいということになる。私が自分でもギターを弾くこともあるが,こういうアルバムを聞いていると,一発でまいってしまうのである。我ながら単純だと思いつつ,いいものはいいのである。
やはり,ECMというのはクロス・ボーダー,クロス・カテゴリーの音楽が似合うレーベルだと改めて痛感させられたが,とにもかくにも,この選曲あってのアルバムであることには間違いない。前作を聞いた時のような衝撃は薄れたとしても,十分に星★★★★☆には値する作品と思う。Kate Mooreもよかったし,本当にManfred Eicherの目配りに感心させられてしまった。
Recorded in November 2015
Personnel: Zsófia Boros(g)
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New Seriesでありながらクラシックの選曲にこだわらない、というのがツボでした。しかも難解な曲もなくて聴きやすいですし。こういうボーダーレスな作品だと何回も聴いてしまいますね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2016年11月 5日 (土) 11時54分
910さん,こんにちは。TBありがとうございます。
おっしゃる通りで,全然難解さがないのは,聞き手を選ばないという点で,より幅広いリスナーに聞いて欲しいと思えるアルバムでした。前作も踏まえれば,このギタリストの指向がそうした方向に向いているんだと思いますが,それにしてもいいアルバムでした。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年11月 5日 (土) 12時00分