Sting,13年ぶりのロック・アルバムだが...。
"57th & 9th" Sting(A&M)
Stingは昨今はDowlandの曲を歌ってみたり,オーケストラとの共演作を出したりと,純粋なロックからはやや離れた活動をしてきたという気もするが,オーケストラと共演した"Live in Berlin"は結構よかったと思っている(記事はこちら)。だが,彼の音楽を長年聞いている人間(そして,アルバムをほぼすべて保有している人間)としては,ロック的な活動もして欲しいと思っていたのも事実である。そうは言っても,Stingももはや65歳を越え,若い時と同じにはやってられないってことも理解できないわけではない。
しかし,今回のアルバムを聞いていて,私には何とも言えない違和感が残ったことは正直に書いておかなければならないだろう。曲は確かにSting的な感じなのだが,これまでの私が知っているStingの曲に比べると,曲としての魅力に乏しいのである。冒頭のギターなんて,J-Popか?と思ってしまった。更に,私の違和感を増幅させたのが,Stingのヴォーカルのキーの低さである。もちろん,加齢とともに声がハイトーンが出なくなるのは自然なことであるが,ロック的なサウンドに彼の声が乗らなくなってきているような気がしてならない。
これは私がStingにイメージするものとの乖離が生じているだけのことかもしれない。だが,Stingがどうしても無理をしているような気がしてしまい,没入できない感覚が残ってしまうのである。だからこそ,7曲目でDominic Millerとのデュオで演じられる,トラッド的な響きを有する"Heading South on Great North Road"のような曲にシンパシーを感じてしまうのではないかと思える。そして,一番Stingらしいと思えるのが"Inshallah"かなぁ。ボートラ版のエキゾチックな"Inshallah"も魅力的なだけにう~むって感じなのだ。
もちろん,そうは言ってもStingである。一定以上のレベルは確保していると思うが,私が彼に期待するレベルはもっと高いものであるがゆえに,年月の経過というものの残酷さを痛感したと言ってはStingに対して失礼か。もう一点言っておくと,このアルバムのミキシングによりそういう感覚が強まっているように思える。本作のミックスは,Stingの声を生々しく響かせようという感じがするのだが,ロック的なフレイヴァーの曲ではそれが逆の効果をもたらしているように思えてならない。ボートラとして最後に収められたライブ・トラック,"Next to You"のようなミックスであれば,まだ聞けたのではないかと思えてならない。
期待が大きいだけにちょっと残念だった。ということで星★★★。
Personnel: Sting(vo, g, b, p), Dominic Miller(g, shaker), Lyle Workman(g), Micheal Kierszenbaum(org, p, mellotron), Rob Mathes(p), Vinnie Colaiuta(ds), Josh Freese(ds), Zach Jones(ds), Rhani Krija(perc), The Last Bandoleros<Jerry Fuentes(vo, g), Diego Navaira(vo, b, g), Derek James(vo, g), Emillio Navairo(vo, ds), Percy Cardona(accor)>, Hazem Nassreddine(turkish zither), Nabil Alchami(cl), Salam Alhassan(perc), Accad Alsaad(perc), Thabet Azzawi(oud), Marion Enacchescu(vln), Joan-Baptiste Moussarie(g), Razan Nassreddine(vo), Nadam Sarrouh(oud)
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こんばんは。お疲れ様です。
1曲目のI Can't Stop Thinking About Youは
完全にポリスを意識してますね。
ただし出来損ないポリス。
ギターはアンディ・サマーズの
分散和音ディレイエフェクターを意識しています。
前半は大人のポリスをやりたかったんじゃないでしょうか?
後半はスティングのダメな部分が出ちゃってる(私的)感じです。
ここは素直にポリスのNOWアルバムを
作るべきだと思いました。それなら内容がダメでも買いますw
腐ってもステングってところでしょか。
投稿: K | 2016年11月17日 (木) 00時00分
Kさん,こんにちは。
おっしゃる通りだと思います。出来損ないのPolice。言い得て妙ですね。
後半がダメっていうのは,私がStingらしいと書いたあたりとすると,やや感覚が違うかもしれませんが,まぁそれはそれってことで(笑)。これならば,Circa ZeroのAndy Summersの方がオリジナリティのある活動をしている気がしますね(あっちはほめましたから...)。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年11月19日 (土) 12時32分