ECM「積んどく」シリーズの2枚目はGiovanni Guidi。
"Ida Lupino" Giovanni Guidi(ECM)
「積んどく」状態のECMの未聴盤を掘り起こすということで,今回はGiovanni Guidiである。Guidiと言えば,甘美なピアノを聞かせる人(彼のアルバムに関する記事はこちらとこちら)と思っていたが,今回はリード,トロンボーンにドラムスというベースレス編成で,しかもクラ/バスクラはLouis Scravis,ドラムスはフリーもこなすGerald Cleaverでは一体どうなってしまうのかがこのアルバムへの期待であり,不安であった。
ということで,聞いてみると,やっぱりというか,当然と言うか,これまでのGiovanni Guidiのアルバムとは全然雰囲気が違う。フリー的な要素も示しながら,時折美的なセンスが顔を出すのがこの人らしいが,それでもこれまでの路線からは大きく異なるところで,大きく好みが分かれてしまうことは間違いない。もちろん,これまでのアルバムにおいても,美的なだけでなく,フリー的なアプローチも多少は聞かせていたGuidiではあるが,それはスパイス程度のものであって,今回のレベルにまで行ってしまうことは想像していなかった。
だが,音楽としては結構聞きどころも多く,アヴァンギャルドということもないので,私には抵抗感はない。アルバム後半は静謐な中での抑制された音楽になっており,特に最後のGianluca Petrellaとの共作による"The Gam Scorpions"ではGuidiらしい美感が際立っていて,印象深いエンディングとなっている。だが,ちょっと14曲,収録時間70分超というのは,やや過剰かなぁと思えるのも事実。これまでのGiovanni Guidiの音楽とは一線を画する作品ではあるが,こういうチャレンジをさせてしまうのもECMらしいと言うべきだろう。星★★★★。
それにしても,タイトルとなった"Ida Lupino"とは懐かしい名前である。監督,脚本にも取り組む多才さを持ち合わせながらも,決してメジャーになることはなかった女優の名前をこんなところで見るとは思わなかったが,よくよく見ていたら,Carla Bleyのオリジナルだったのねぇ。Carla Bleyがどういう理由でこのタイトルにしたのか。そっちも興味深い。
Recorded in February 2015
Personnel: Giovanni Guidi(p), Gianluca Petrella(tb), Louis Scravis(cl, b-cl),Gerald Cleaver(ds)
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叙情派ピアニストで、主にフリー・インプロヴィゼーションは、私も面食らいましたけど、メンバーの妙もあって、楽しんで聴けたと思います。演奏もECM的なフリーという感じで、なかなか印象的でした。HMVに入荷せず、注文をAmazonに切り替えて早く聴きましたけど、それも正解でした。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2016年11月28日 (月) 23時52分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
Louis Scravisは想定通りでしたが,トロンボーンのGianluca Petrellaも効いていましたね。そしてこの編成かぁと思わせながら,ちゃんと聞かせてしまうEicherマジックですね。好みで言えば,前作,前々作ってことになるとは思いますが,これも決して無視できない作品と思いました。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年11月29日 (火) 00時12分