ジャズはエンタテインメントだと思わせたChristian McBride@Cotton Club東京。
今年の1月にNYCに出張した時に,現地のBirdlandで見たMack Avenue All Starsでもリーダーとしての役割を果たしながら,大いに聴衆を楽しませていたChristian McBrideが,自身のトリオを率いて,Cotton Clubに出演すると知り,駆けつけた私である。今回は東京Jazz及びBlue Note東京におけるPat Methenyとのデュオがメインでの来日であったと思われるが,それだけでなく,自分のトリオでやるというところに,気合も入るだろうということは期待できた。
最新作のVanguardでのライブも楽しかった(記事はこちら)が,今回のライブも全く同一路線のエンタテインメント性溢れるライブであった。冒頭の3曲はそのライブ盤からの選曲で,1曲目の"Fried Pies"からつかみは完全にOKという感じであった。アンコール前の"Car Wash"はやるだろうと思ったが,やっぱりやったなぁってところ。Vanguardの聴衆に比べると,Cotton Clubの聴衆は多少控えめというか,ややおとなしい感じがするのは仕方ないところではあったが,いずれにしても,ノリが肝心なのよと思わせてくれる演奏であった。その一方で,Micheal Jacksonの"The Lady in My Life"はChristian Sandsをフィーチャーして,美しく聞かせる術も持っているところが素晴らしい。
ただ,Herbie Hancockの"Toys"などは,このトリオに合っているとは思えず,そのあたりはやや中だるみ感があったのは否めない。しかし,Christian McBrideの素晴らしいベース・サウンドだけでも元が取れたと思えてしまった。そして,1月にも感じたことだが,Christian Sandsというピアニストは,多彩なスタイルを弾きこなすなかなかのプレイヤーであることは,今回も同様に感じたと言っておこう。ドラムスのJerome Jenningsは私は初めて聞いたと思うが,Webサイトによれば,結構マイナーなアルバムでドラムスを叩いている一方,Sonny RollinsやHank Jonesとの共演歴もあり,相応の実力を持つ人だと聞いた。特にシンバル・ワークの細かさは聞いていてへぇ~と思っていた私である。
Christian McBrideは焼酎のグラスを片時も話さずって感じだったが,いい感じでお酒も入って,リラクゼーションも感じさせながら,素晴らしいベースを聞けたことが,やはり今回の収穫。最近ではこうしたコンベンショナルで,エンタテイニングなジャズを聞く機会が少ないだけに,こうした演奏も時に新鮮に感じられたと思っている。いずれにしても,楽しく聞けたライブであった。写真は今回のものではないが,雰囲気ってことで,別Webサイトより拝借。
Live at Cotton Club東京 on September 7 in 2016, 2ndセット
Personnel: Christian McBride(b),Christian Sands(p), Jerome Jennings(ds)
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