夏フェス向きの音楽みたいな"Cannonball in San Francisco"
"The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco" (Riverside)
久しぶりにこのアルバムを聞いたのだが,彼らの"Mercy, Mercy, Mercy"がそうであるように,ノリが肝腎と言いたくなるようなアルバムである。こういうのはクラブで聞いてもいいかもしれないが,開放的な屋外のジャズ・フェスとかで聞くと燃えるだろうなぁ。間違いなく,ビールの消費量が増えるタイプの音楽である(きっぱり)。
それにしても,楽しいアルバムである。Cannonballの淀みないアルトだけでなく,クインテットの面々は相応の実力者揃いのため,全く破綻がない。ジャズの持つエンタテインメント性をここまで表出できるのはまさに彼らぐらいではないか。私は実を言うと,一時期のRichie Coleは今でも結構評価している(特にMuseレーベル期の一時期)が,同じくエンタテインメント性が強くても,本作を聞いていると,CannonballとRichie Coleの格の違いが明確になると言わざるをえない。そんなことは当たり前だと言われるかもしれないが,彼らの決定的な違いは,Richie Coleはやり過ぎで短時間で飽きがくるとすれば,Cannonballはエンタテインメントであっても,決して飽きることがない。ギミックに走る必要がないのがCannonballなのだ。だから飽きない。
"High Fly"あたりはちょいとしょぼい感じがしないでもないが,これだけ楽しければ文句も出ない。同じCannonballのアルバムでも約1年半違いの"Somethin' Else"とは全然違う音楽なのは,やはりMiles Davisのにらみから解放された自由度によるものか(笑)。あっ,あれはMilesのアルバムか(笑)。いずれにしても,怖い大将がいなくなって,はじけるCannonballって感じである。星★★★★☆。
Recorded Live at the Jazz Workshop on October 18 & 20, 1959
Personnel: Julian "Cannonball" Adderley(as), Nat Adderley(cor), Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Louis Hayes(ds)
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