Apple MusicでGil Evans Orchestraとジャコパスのライブを聞く。
"Live under the Sky Tokyo '84" Gil Evans Orchestra with Jaco Pastorius(Hi Hat)
ブログのお知り合いのkenさんが記事にされていたのを拝見して,便乗して私も記事のアップである(笑)。
世の中に出回っているブート音源をCD化してリリースするってのは昔からある商法であるが,Hi Hatレーベルってそういうことばっかりやってるよねぇ(笑)。とか言いつつ,Milesの福岡の音源とか買っているから,私も文句は言えた筋合いではないが...(苦笑)。
そのHi Hatから今回出たのが1984年のLive under the Skyの時のGil Evans Orchestraとジャコパスの演奏である。私はこの時の演奏をまさによみうりランドEastで見ていたので,今でもよく覚えているが,端的に言ってしまえば,ジャコパスがGil Evans Orchestraの演奏をぶち壊したというのが私の印象である。晩年のジャコパスは奇行が目立っていたと言われているが,振り返ってみれば,既にこの段階で精神に何らかの異常をきたしていたと考えざるをえないのである。
この時のGil Evans OrchestraにはベーシストとしてMark Eganがいるのだから,ジャコパスは本来必要ない。であるとすれば,ソロイストとしてのポジションか,自身のレパートリーをやればいいってことだが,ジャコパスの持ちネタは"Soul Intro / The Chicken"とアンコールで演奏された"Dania"ぐらいのものである。だったら,Gil Evansに対してのリスペクトを示しながらやるのが筋だが,この時ジャコパスがやっていたのは騒音をまき散らすだけの行為に過ぎなかった。Gil Evansも呆れる様子が感じられたのは気のせいだろうか。
このアルバムでは,そのジャコパスのベース音のミキシングが抑え気味になっていて,私がライブの場で感じたような不快感は抑制されたが,それでもあの時のことを思い出すと不愉快になってしまう私である。そもそもGil Evans Orchestraの演奏も,破綻はなかったものの,この前年にMiles Davisとダブルビルで来た時のような響きからは後退感があったと思っていた。それに加えて,私は前年の夏にNYCを訪れて,Sweet Basilで至近距離でGil Evans Orchestraの演奏を3セットぶっ通しで聞いていたことも,印象を弱めた要因なのは間違いない(その時のライブに関する記事はこちら)。それでも,この時の演奏からは高揚感をおぼえなかったというのは事実なのだ。
そこにお邪魔虫のようなジャコパスが加わることで,私は本当にライブの間,辟易としていたし,聴衆がどうしてこれほど盛り上がるのか理解できなかった。この演奏も,よくよく聞けば,Gil Evans Orchestraの演奏に,ジャコパスがノイズのようなベースをかぶせているのが聞こえてくるはずだ。それをミキシングで抑制しても,ライブの場ではそうではなかったのである。
そうした悪い記憶ばかりが蘇るが,今回,演奏を聞き直してみて,Gil Evans Orchestraの演奏自体にはそれほど破綻はなかったということはわかった。私はこの時,ジャコパスへの不快感が勝っていたということにほかならない。Live under the Skyではいい演奏にも巡り合った(今にして思えば,83年のWeather Reportは素晴らしかった。映像があったのでついでに貼り付けてしまおう)こともあれば,この時のようにほとんど「金返せ」と言いたくなるような経験もあった。確かに日本のジャズ史に残るフェスティバルだったのは事実であるが,この時の演奏だけは30年以上経過した今でも印象が悪いままである。この時の演奏をいいか悪いかは映像を貼り付けておくので,皆さんで判断して頂ければと思うが,私にとってはやっぱり駄目。
ということで,昔日の記憶を呼び覚まされた私だが,今回音源を聞いていて,何も児山紀芳のFMのMCまで収録することはないだろうと思ってしまった。この辺がHi Hatというレーベルの限界。というか,はなから胡散臭いレーベルだが(爆)。
Recorded Live at よみうりランド オープンシアターEAST on July 28, 1984
Personnel: Gil Evans(el-p),Lew Soloff(tp), Hanninbal Marvin Peterson(tp), Miles Evans(tp), George Lewis(tb), Chris Hunter(as),George Adams(ts), Howard Johnson(bs, tuba), Pete Levin(synth), Hiram Bullock(g), Mark Egan(b), Adam Nussbaum(ds), Jaco Pastorius(b)
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コメント
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この時期のエヴァンスのライヴ録音は沢山ありますよね。ならば、この程度のジャコの演奏で取り上げる価値はないですね。
この手の共演もののなかでは、ペルージャでのスティングとの1枚がベスト、と思っています。
投稿: ken | 2016年7月 4日 (月) 20時14分
kenさん,続けておはようございます。
Gil Evansのライブ盤は多いですが,粗製濫造気味な部分は否めませんね。Stingとのライブは、Stingのレパートリーが加わって,ケミストリーが生まれていた気がします。
いずれにしても,この演奏は悪くないとしても,ジャコパスは最悪でした。特に自分の持ちネタ以外の酷さは目に余ると思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年7月 6日 (水) 07時49分
現場を見ている人の文章は、説得力が違います。
この音源を聴いている範疇では、Gil Evans OrchestraにJaco Pastoriusフレーバーを良い塩梅に降りかけた感じで、悪い印象は持たなかったんですが..。
TBありがとうございます。逆はコメント内TBさせていただきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64069589.html
投稿: oza。 | 2017年3月26日 (日) 08時16分
oza。さん,続けてこんばんは。リンクありがとうございます。こちらも返信が遅くなりました。すみません。
正直言って,この時のJacoは既におかしかったです。おそらくリハーサルの時に恐れをなしたNHKのエンジニアが,ベースのミキシング・レベルを下げたんだと思います。そして,それは絶対に正解でした。
この演奏は,確かに聞けるレベルだと思います。しかし,本当に現場では私は不愉快極まりない思いをしていました。こんな演奏に盛り上がる聴衆はGil Evansに失礼だと今でも思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年3月30日 (木) 19時05分