Pat Methenyライブ参戦記
Pat Methenyの新バンドを聞きに,新宿文化センターに行ってきた。MethenyのバンドはUnity Groupを一昨年聞いて以来ということで,インターバルは結構短い。そして今回,ブルーノートでの演奏ぶりについては情報が入ってきていたが,私にとって今回のバンドは,好き者はみんな知っていても,一般にはまだまだメジャーとは言えないGwilym SimcockとLinda Ohが機能するかが一番の関心事であった。
結果からすればこの二人は機能していた。それは今回のバンドが,私から言わせれば,Pat Methenyの原点回帰という感じがしたからである。ギミックを使わずしても(i.e. ヴォイスなし,テクノロジー控えめ,最小編成),実力で勝負できる演奏環境でのライブを今回は指向していたのではないか。そもそも会場に入って,私が嫌いなあのオトナのオモチャでしかない"Orchestrion"がない。そしてGwilym Simcockはピアノの横に小ぶりなシンセが置いてあるだけである。ということは,テクノロジーに依存するのではなく,ECMデビュー当時のPat Metheny Group的な感じでやるのかもしれないなぁなんて想像していた。
そして演奏が始まって,ピカソ・ギターやギター・シンセは使ったとしても,テクノロジー依存度は従来のバンドよりもはるかに低いと思わせるものであった。やっている曲はお馴染みの曲が多かったが,新曲か?と思わせるものもあった(私が知らないだけかもしれんが...)。そんな中で,Pat MethenyとAntonio Sanchezはどうやっても変わりようがないという感じだったので,いつも通りなのだが,新規参加のLinda Ohにしても,Gwilym Simcockにしても,十分に実力を感じさせる演奏だったと思う。惜しむらくは序盤のSimcockのピアノのPAレベルが低くて,ほとんど聞こえない瞬間や,Methenyのギターがまるで風呂場で聞いているような感じの音になっていたことがあったが,Linda Ohのベースは,アコースティックにしても,エレクトリックにしても,この人は侮れないと思わせるに十分であった。いずれにしてもいい音を出していたし,Methenyとデュオで演じた"How Insensitive"におけるソロなんて立派なものであった。
そして,音がよく聞こえない瞬間もあったGwilym Simcockだが,Lyle Maysの後継者にこの人はなれるのではないかという魅力的なフレージングを連発して,バンドへのフィット感が強かったのは特筆ものである。だが,Pat Metheny本人としてはLyle Mays同等の人はいないということかもしれないが,アンコールで演じた"Are You Going with Me?"において,Lyle Maysが弾いていたパート/フレーズを,Pat Methenyが弾き,Simcockを伴奏に徹しさせたところに,Pat Methenyの考え方みたいなものが表れていたように思える。端的に言えば,Simcock君がMaysの代わりになるにはまだ10年早いって感じか。そんな感覚があったので,今回のバンドは,今後の活動に向けてのオーディションも兼ねているのではないかと思えてしまうのはうがち過ぎか?
だが,お馴染みのレパートリーを新しいバンドで聞くことには,それなりの魅力があったし,大いに楽しめた。とにかく,私は例えばMethenyとのデュオで演じた"Phase Dance"でのGwilym Simcockのフレージングが魅力的だと感じていたので,彼はポストLyle Maysに据えてもいいのではないかとさえ思っていた。もちろん,それはLyle Maysの復帰がないという前提であって,多くのオーディエンスはPMGの復活を願っているはずだが。そういうことは抜きにしても,オーディエンスを楽しませる術は心得ている人たちであった。
尚,写真はブルーノートの演奏の模様を拝借したものだが,クラブでもホールでも衣装がほとんど変わらないように思えるのが笑える。
Live at 新宿文化センター on May 25, 2016
Personnel: Pat Metheny(g, g-synth), Gwilym Simcock(p, synth), Linda Oh(b), Antonio Sanchez(ds)
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閣下、トラバをありがとうございました。m(_ _)m
パッと・メセニーは黒のギンガムチェックの綿シャツだとおもいます。笑
サンチェスへの信頼感があってこその新メンバーなのだとおもいますが、やっぱり、彼が選んだだけあるととおもいます。
二人とも、パット・メセニートのライブを重ねることで、すんごく進化するとおもいます。良い仕事してるとおもいました。そして、デュオの曲もそれぞれの長所が際立つ良い選曲だとおもいました。
2セット目は正面で聴いたのですが、手元も表情もよくみえて一緒に興奮してしまいましたよ♪
投稿: Suzuck | 2016年6月 7日 (火) 09時13分
Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございます。
それにしても羨ましいですねぇ。2セット,連チャン。ホール公演は予想よりも演奏時間が短かかったですが,それでも満足いくものだっただけに,Blue Noteで聞けば,感慨ひとしおですよねぇ。やっぱり羨ましい。
演奏は破綻はなかったですし,クォリティも高かったですが,もう少しGwilym Simcockを使ってもよいように思えました。ミキシングのせいもありましたが...。しかし,Methenyの目利きは間違いないですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年6月 7日 (火) 22時55分