Cuong VuとPat Methenyのコラボ作は結構いい。
"Cuong Vu Trio Meets Pat Metheny" Cuong Vu(Nonesuch)
ヴェトナム系アメリカ人であるCuong Vuのミュージシャンとしての活動を踏まえれば,彼がPat Metheny Groupに参加したことはRichard Bonaの参加と同じぐらい意外であり,びっくりさせられた。だが,PMG在籍中はわれわれがCuong Vuに抱くようなイメージは抑制しながら,PMGの一員としての演奏を行っていたイメージが強い。それでもライブの場では,フィーチャーされると,いかにもCuong Vuらしいねぇと思わせる演奏があったようにも記憶している。
PMGとしての最新作である"The Way Up"のリリースから10年以上を経過した今となっては,現時点でPMGが再編された際にCuong Vuが加わるかどうかは微妙なところであるが,こんなアルバムをリリースするってことは何かがあるのではないかと思わせる。その一方で,間もなくPat Methenyは全く新しいバンドで来日を控えているので,PMG復活は夢のまた夢なのかもしれないが...。
だが,このアルバム,Methenyもプロデューサーとして名を連ねているだけあって,Pat Metheny色は結構濃厚と言ってもよい。PMGのような音楽ではないのだが,Patらしいのだ。これが,同じくPat Methenyが全面参加しながらも,私が納得のいかなかったLogan Richardson盤との大きな違いである(同盤についての記事はこちら)。
本作はCuong Vuの音楽性を活かしながら,そこにMethenyがスパイスを効かせて,更にスリリングな音楽に仕立てたって感じである。ただでさえ鋭いCuong Vuのトランペットに,Pat Methenyのギターやギター・シンセがかぶってくるときのスリルには思わず興奮させられた私である。"Telescope"なんて,"Imaginary Day"以来の激しさだと言ってもいいぐらいだ。これは燃える(笑)。終盤までこの調子で突っ走ってくれれば,更に評価したくなるところであったが,やや曲調が緩くなるのは惜しい。
まぁ,それでも,Pat Methenyのフリーの虫がうずき出してリリースしたとも考えられる本作は,Derek Baileyとの"The Sign of 4"や,全くいいと思えない"Zero Torelance for Silence"なんかに比べると,はるかに聞き易いし,作品としてもまともである。なので,Pat Methenyのファンは買っても損はないと思わせるものの,AppleMusicで聞いていれば十分だったかなぁなんて思うのも事実である。但し,決して悪い出来ではないと思う。
今度の新バンドではどういう音を出してくるのか,非常に気になってきた新作である。星★★★★。
Recorded on February 4-6, 2015
Personnel: Cuong Vu(tp), Stomu Takeishi(b), Ted Poor(ds), Pat Metheny(g)
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なかなか面白い組み合わせのアルバムでした。確か武石務のベースは、以前のウォン・ヴーの作品「残像」でもあったような気がしますし、トリオとしてフリー的ながらもまとまりを見せているところに、パットが同化しているように感じました。自分的には好きなアルバムです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2016年6月26日 (日) 21時48分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
武石務っていろいろなところに顔を出して,神出鬼没ですよねぇ。でも,大体こういうハイブラウな感じが多いような気もします。
確かに,これはPat Methenyが同化しているのは間違いないところだと思いますが,やっぱり彼もこういうの,好きなんですよね。相変わらずだ(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年6月26日 (日) 22時47分