素晴らしかったEgberto Gismontiソロ。

Nana Vasconcelosとのデュオ・ライブとして演じられるはずだった今回の公演が,Nanaの急逝によりEgberto Gismontiのソロとなったライブを観に,練馬文化センターに行ってきた。西武池袋線に乗るのは一体何年ぶりになるだろうか。大学時代に家庭教師をしていた頃だから,30数年ぶりってことになるが,その練馬駅前に会場はあった。
どうも会場は知り合いの集いみたいな感じの人々が多く,あちこちで挨拶を交わす声が聞こえたが,私は今回は完全単独行であった。前回,Gismontiを聞いたのは2007年の晴海でのライブだったが,晴海も珍しいヴェニューなら,今回の練馬も珍しいヴェニューである。駅に近いのはいいが,ちょっと通路が狭いので,動線には問題あるよなあなんて,ついつい商売(の一つ)に近いことを考えてしまったが,席は2列目センターやや右寄りというナイスなポジションであった。ギターを弾く姿はばっちり見られたが,ピアノを弾く手が見えなかったのはちょっと残念だった。しかし,それはないものねだりってことで。
演奏は第一部がギターと笙に似たタイのケーンという楽器,そしてノルウェーのウイロー・フルートの持ち換え,第二部がピアノによる演奏ということで,晴海も第一部がギター,第二部がピアノという構成だったので,これが通常パターンと言ってよいのだろう。
演奏はギターのパートはややミスタッチもあったが,まさに技のデパートというような感じで,どうやったら,あんなにハーモニクスを効かせられるのかとか不思議に思いながら聞いていたが,私が最も惹かれたのは唯一スチール弦の12弦ギターで弾かれた曲であった。聞いたことがあるように思えるが,曲名が思い出せない。しかし,オープン・チューニングで奏でられるこの曲が本当に気持ちよかった。Ralph Townerが弾く12弦ギターの音が好きな私ゆえ,こういう音には本当に簡単にまいってしまうのである。演奏を聞きながら,久しぶりにスチール弦を張り替えて,オープン・チューニングの曲を弾きたくなっていた私である。写真は今回のものではないが,雰囲気はほとんど同じである。
そしてピアノで演じられた第2部は,ギターでは土俗的な響きを感じさせる部分もあったGismontiが,メロディアスなフレーズを炸裂させるという展開であった。この人,ピアニストとしても相当のテクニシャンで,左手が強烈だと思ったが,そこから見た目とは異なる美しいフレーズが出てくるのだから,意外性もあると言ってよい。そして"Maracatú"を聞いて,この曲の魅力を再認識していた。本当にいい曲である。
ということで,音楽的な満足度は極めて高かったが,アンコールで演じられたNanaの映像との「共演」はちょっと蛇足かなとは思っていた。それまでの演奏でも,十分Nanaを追慕/追悼する気持ちは表れていたのだから,あれはなくてもよかったように思う。もちろん,あっても問題はないのだが,敢えてあのようなかたちを取る必要はなかったというだけである。
尚,今回は来場者に結構可愛い手ぬぐいが配られたが,これはNanaの逝去で浮いたギャラを還元したのかなぁなんて「しけた」ことを考えていた私である(笑)。でもなかなかよいデザインだと思うので,写真もアップしてしまおう。
Live at 練馬文化センター大ホール on April 20, 2016
Personnel: Egberto Gismonti(g, p, vo, khaen, willow-fl)
« 多忙につき...。 | トップページ | 追悼,Prince... »
「ブラジル」カテゴリの記事
- 新年最初の音楽は気楽に聞けるCharlie Byrdのライブ盤。(2026.01.02)
- 完全にノーマークだったが,Paula Santoroのアルバムが2023年にリリースされていたようだ。(2025.10.18)
- "Toninho in Vienna":心地よさ極まれり。(2025.09.09)
- 「微熱・ボサノヴァ」とは言い得て妙なArto Lindsayのアルバム。(2025.08.05)
- 猛暑をPaul Winterでしのぐ(笑)。(2025.08.04)
「ライブ」カテゴリの記事
- Action Trio@Cotton Club参戦記。(2026.01.31)
- Boone's Farm@ビルボード・ライブ東京参戦記。前日のBlue Noteのリベンジにはなったな(笑)。(2026.01.17)
- Gentle Thoughts Reunion@Blue Note東京参戦記。はっきり言って最悪のPAであった。(2026.01.16)
- 2025年の回顧:ライブ編(2025.12.23)
- 今年最後のライブは森山威男~山下洋輔デュオ@Blue Note東京。(2025.12.20)
「ジャズ(2016年の記事)」カテゴリの記事
- 2016年の回顧:ジャズ編(2016.12.30)
- ジャズ界の若年寄,Scott HamiltonのFamous Door作。懐かしいねぇ。(2016.12.23)
- 2016年の回顧:ライブ編(2016.12.19)
- 中年音楽狂のNYC夜遊び日記(番外編):クリポタとの遭遇(2016.12.14)
- 中年音楽狂のNYC夜遊び日記(3):最後の夜はWayne Krantz@55 Bar。(2016.12.13)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 素晴らしかったEgberto Gismontiソロ。:
» Egberto Gismonti @ 練馬文化センター (4/20) [My Secret Room]
Egberto Gismonti @ 練馬文化センター (4/20) Egber [続きを読む]

































































羨ましいです!
東京公演だけだったようなので、遠方で指をくわえて悶えておりました(苦笑)。
生ジスモンチ、すごいだろうな・・・
しかも、この手ぬぐい、これまた素敵なデザインですね。印刷して、額に入れて飾りたい感じです。
投稿: サル | 2016年4月23日 (土) 08時46分
サルさん,こんにちは。
私がGismontiのソロを聞いたのは2回目ですが,今回の演奏は間近で体験できたので,前回(2階席だったでしょうか)と結構感覚が違いました。
本当にギターとピアノでは性格の違う演奏ぶりでしたが,どちらも彼の個性ってことになるんでしょう。それにしても,いい演奏でした。オープニングのケーンの演奏からして,聴衆の心鷲掴みでした。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年4月23日 (土) 13時31分
閣下、こちらもトラバありがとうございます。
いらっしゃるのをご存知でしたら、ご挨拶だけでもしたのに。
というか、、いつも、合間にステージを見に行くのですが、、今回はトイレ休憩となってしまいまして。。
私は初体験だったのですが、とても印象的で心に残るライブとなりました。
やっぱり、楽器を(とくにギター)熟知するって重要ですよね。
あの演奏すごすぎて、何をしているのかほとんどわからなかったです。
とても、貴重な体験でした。
投稿: Suzuck | 2016年4月26日 (火) 13時30分
Suzuckさん,続けてこんばんは。TBありがとうございます。
私も休憩中はトイレに行っていましたが,男性用が大混雑で焦りました(苦笑)。
ギターに関しては,多彩な技を繰り出していましたよねぇ。一方,ピアノは美的センスが光りました。ああいうライブはなかなか見られないなと思えるようなナイスな演奏だったと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年4月26日 (火) 18時41分