"★(Blackstar)" David Bowie(ISO/Columbia)
シカゴから帰国したら家に到着していて,早速聞いたアルバムがこれである。
本作はDavid Bowieの69歳の誕生日にリリースされた話題の新作である。今回のアルバムはバックを固めるのがジャズ界のメンツというところから,どうなるのかと思わせたのだが,選んだメンツからしてもオーセンティックなジャズになるわけはないと思わせる。そして出てきた音は十分に尖っていて,David Bowieの健在ぶり,あるいは全く老いることのない化け物ぶりを際立たせる。
収録時間こそ41分程度と短いのだが,収録された曲は,いろいろなタイプの音楽が収められていて,あっという間に時間が過ぎていくのである。突出した曲はないかなぁと思わせつつも,十分にロックを感じさせる出来になっていると思う。
David Bowieがなぜ今,今回参加しているミュージシャンを呼び寄せたのかは全くの謎であるが,世代の違うミュージシャンをうまく使いこなしているという感覚が強い。よくよく考えてみれば,主要なメンツはDonny McCaslinの最新作,"Fast Future"のコア・バンドと全く同じミュージシャンたちなので,どういうことかと思ったら,Telegraghによると,NYCの55 Barで彼らの演奏を聞いたBowieが彼らをリクルートしたってことらしい(ってことは55 BarにBowieが来ていたということになるのか?それって凄いなぁ...)。彼らのような,どちらかと言えばジャズ・フィールドにおける先鋭的なミュージシャンたちを使って,ロックを作るとこうなるって感じだろうが,David Bowieの個性はそれによって損なわれることはない
一聴して地味な感じがあることは否めないし,私としては更にロックしていた前作"The Next Day"を上回る傑作と言うつもりはない(感覚的には前作の方が私は好きである)が,これはレベルの高い作品として,多くの人が聞くに値する作品だと思う。冒頭のタイトル・トラック"★"が比較的静謐に展開された後に出てくる2曲目"'Tis a Pity She Was a Whore"でのロック・ビートに高揚感をおぼえさせる作りなんて,リスナーのことをわかっているねぇと思わせる。そして,ここに参加したジャズ・ミュージシャンたちがこれほどBowieの音楽とフィットしていること自体が驚きなのである。"Sue (Or in a Season of a Crime)"の作曲にはMaria Schneiderさえ関与しているというのも別の驚きであった。星★★★★☆。
Personnel: David Bowie(vo, g, strings arr), Donny McCaslin(sax, fl, woodwind), Jason Lindner(p, org, key), Tim Lefebvre(b), Mark Guiliana(ds, perc), Ben Monder(g), Tony Visconti(strings), James Murphy(perc), Erin Tonkon(vo)
追記:本作にも収められた"Sue (Or in a Season of a Crime)"は先にリリースされたベスト盤,"Nothing Has Changed"に収録されていて,そこではMaria Schneider Orchestraをバックに歌ってたのねぇ。ベスト盤ゆえに買っていなかったので,全然知らなかった。私が無知なだけ?(苦笑)
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