ブルージーでソウルフルな兄貴もまたよし。
"Bluenote Cafe" Neil Young & Bluenote Cafe (Reprise)
兄貴ことNeil Youngの活動はSSW/ロックの世界を超越してしまうところがあって,全部が全部いいとは言えない部分もあると思う。だから,私は結構な兄貴のファンだとは言っても,アルバムを全作保有しているわけではない。そんな気まぐれな兄貴の音楽を全て愛してこそ,本当のファンだと言われれば返す言葉はないが,そこまでの余裕は時間的にも金銭的にもないのである(きっぱり)。
本作は,そんな私が無視していた"This Note's for You"期のライブ音源を収めたお馴染みのアーカイブ・パフォーマンス・シリーズの最新作である。知らぬこととは言え,出てきた音を聞いてびっくりである。ブルーズとソウル風味のNeil Youngなのである。だが,これが悪くない出来である。食わず嫌いとはまさにこれのことだと思ってしまった。
ここでの演奏は87年から88年にかけて複数の場所で録音されているが,曲の並びは時系列になっているのが面白い。Disc 1の1曲目が87年11月7日の演奏,Disc 2の最後(11曲目)の"Tonight's the Night"が1988年8月30日となっていて,Crazy HorseのFrank Sanpedroは全曲に参加しているが,87年収録の2曲についてはCrazy HorseのBilly TolbotとRalph Molinaも加わっている。有名曲はそれこそ"On the Way Home"と"Tonight's the Night"ぐらいのものながら,歌いながら,ギターを弾きまくる兄貴のはじけっぷりが心地よい。それを支えるのが分厚いホーン・セクション(tp*2,tb, ts, as, bsの6管)というのが兄貴としては極めて異色な響きながら,兄貴はどうやっても兄貴なのである。そしてこの6管ホーンがなかなか強力に演奏をプッシュしていて,この演奏の成功要因の一つはホーンだと思えてしまうから不思議なものである。まぁ,"On the Way Home"なんてイメージが随分違うが...。
もちろん,これまでのアーカイブ・シリーズの中で,私にとってこれが最高だと言うつもりはないし,兄貴の楽歴においては先に聞くべきアルバムは多々あるが,これはこれで見逃せないアルバムだと思う。確かに異色作ではあるが,やっぱり兄貴の音楽って人を惹きつけるよねぇ。星★★★★。
Recorded Live at Various Venues between November 7, 1987 and August 30, 1988
Personnel: Neil Young(vo, g), Rick Rosas(b), Chad Cromwell(ds), Frank Sampedro(key), Steve Lawrence(ts), Ben Keith(as), Larry Cragg(bs), Claude Cailliet(tb), Tom Bray(tp), John Fumo(tp), Billy Talbot(b), Ralph Molina(ds)
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