Milesバンド,1981年福岡での記録:好調じゃん(笑)。
"Sun Palace, Fukuoka, Japan October '81" Miles Davis (Bootleg→Hi Hat)
本作は既にブートでもお馴染みの音源であったはずだが,プレスCDとして正規盤のようなかたちでリリースされているものの,もとがブートレッグであることは事実である。だからあまり大手を振っての記事のアップとはならないが,それはさておきである。
私もかなりのMiles好きだと自認しているものの,ブートを全部追いかけるような根性もないし,先立つ資金もないから,ブートを買う場合でも「厳選」しているわけだ。だが,本作はおなじみの新橋のテナーの聖地,Bar D2で聞かせて頂いて,音はイマイチながら(それでも十分聞けるレベルだが...),演奏が私が認識しているMilesバンドの音と結構違いが感じられるのが面白く,発注となったものである。
1981年のMilesと言えば,来日時の新宿西口公園でのヨレヨレの姿ばかりが話題になるわけだが,その模様は"Miles! Miles! Miles! Live in Japan '81"に収められているが,まぁ確かにボロボロであっても,MilesはMilesであったという感覚はあった。しかし,この福岡での音源を聞くと,実はこの時のMiles,ヨレヨレだったのは寒風吹きすさぶ新宿西口広場という環境のせいだったのではないかとすら思いたくなる。それぐらいまともである。もちろん,"Aida"のテーマなんて危ないものだが,それはいつものことである(笑)。
それにもまして,私が面白いなぁと思ったのは,バンドの演奏である。いつも通りと言えばその通りなのだが,"Back Seat Betty"におけるノリには,通常感じられないライトな感覚もあって,一般には非常にへヴィな感じがするこのバンドの印象を変えるものとなっているのが面白いのである。まぁ,それでも"Fat Time"におけるしょぼいメロディ・ラインは何とかならんのかと思ってしまう。あの"The Man with the Horn"冒頭におけるダークな色彩を作り出したあの曲とは思えぬアレンジは,曲の魅力を台無しにしていると思うが。少なくともこの曲に関しては新宿のライブの方がましで,更にオリジナルのカッコ良さには到底及ばないのは何とも残念。
ただ,81年のMilesは決してヨレヨレだけではなかったということを明らかにするドキュメント。Milesファンは無条件で買いましょう(笑)。
Recorded Live at 福岡サンパレス on October 11, 1981
Personnel: Miles Davis(tp, key), Bill Evans(ts, ss,fl,key), Mike Stern(g), Marcus Miller(b), Al Foster(ds), Mino Cinelu(perc)
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コメント
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ボクはこのとき、大阪で聞いていました。ボロボロの印象はなかったので、あとで新宿の話を違和感をもって読みましたよ。
カセットに収録したなあ。ディジタル化できるかなあ(笑)
投稿: ken | 2015年12月 6日 (日) 20時57分
kenさん,こんばんは。大阪公演をご覧になったんですか。いいですねぇ。
ブートでもこの福岡,名古屋,東京は音源は残っているみたいですが,大阪はまだ存在するとは聞いたことがないので,kenさんのブートレッガー・デビューにいかがでしょう?(爆)
いずれにしても,東京公演は演奏以前に,その姿の痛々しさが印象を変えているのかもしれませんね。と言いつつ,私は見ていませんから何とも言えないんですが。西に行けば行くほど元気になっていったってことかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年12月 6日 (日) 21時18分