Konitz / Hadenデュオを聞いていて芽生えた疑問
"Sweet & Lovely" Lee Konitz & Charlie Haden(Paddle Wheel)
キング・レコードの再発盤の中から,Jim Hallのライブ盤ともども注文したのがこのアルバムである。Lee Konitizとデュオ名人,Charlie Hadenの共演であるから,まぁ出てくる音は想像がつきやすいものであるし,やっぱり想定通りの音が出てきた。演奏そのものはおそらく何のリハーサルなしでも演奏できてしまいそうなスタンダードばかりであり,この音を聞いていて,私は彼ら二人にBrad Mehldauが加わったBlue Noteレーベルの"Alone Together"を思い起こしていたのであった。
そこで芽生えた疑問が,両方のアルバムってJazz Bakeryでのライブ音源だってことである。ついでに言えば,"Alone Together"の続編として出た"Another Shade of Blue"もそこでのライブ(さらに言えば,それは"Alone Together"の未発表音源)だったのだが,どうもデータがおかしいのである。
"Alone Together"のライナーには,Lee Konitzにキング・レコードからデュオ・レコーディング話があり,このライブが吹き込まれることとなったらしいのだが,その際にはCharlie HadenからBrad Mehldauを招いたトリオでやろうという話が持ち込まれていたらしい。Konitzによれば,間を取ってHadenとのデュオで2セット,Mehldauを入れたトリオで3セット演奏し,それらの中でこの3枚が吹き込まれたことになるらしい。まぁ,"Alone Together"には録音した年号が記されていないし,"Another Shade of Blue"は1997年12月21日の録音なんて書いてあるから混乱するのだが,正しくは1996年12月録音ってことにしていいだろう。だが,一部の情報によれば,彼らがJazz Bakeryに出演したのは12/17-21の5日間という情報もあり,だとすれば,"Alone Together"の録音日とされる12/21と12/22という情報も怪しいということになって,どれが本当なのかさっぱりわからない事態に...(苦笑)。
いずれにしても,この"Sweet & Lovely"とBlue Noteから出た2枚が兄弟アルバムだってことは間違いない事実であるが,こうしたデータのいい加減さがまたジャズっぽいよねぇ(笑)。そんな細かいところに突っ込みを入れている私も困ったもん(と言うより暇人)だが。
ということで,肝腎の"Sweet & Lovely"であるが,ジャズ界における侘び寂びの世界とも言うべきインティメートな対話であり,ある意味非常に地味ではあるが,これはこれでいい演奏だと思う。今まで全くノーマークの音源だったが,今回の再発により聞くチャンスが生まれてよかった。星★★★★。
Recorded Live at the Jazz Bakery on December 20 & 21, 1996
Personnel: Lee Konitz(as), Charlie Haden(b)
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