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2015年12月 8日 (火)

出るべくして出たって感じのBen MonderによるECM第1作

Ben_monder"Amorphae" Ben Monder(ECM)

Ben Monderのギターを聞いていると,Bill Frisellを想起させるところがあると思っている。また,既にPaul Motianの"Garden of Eden"でECMデビューは果たしているので,音楽的な資質からすると,自身のアルバムをECMからリリースしても不思議はないように思える。

そのBen Monderの新作がリリースされたのだが,不思議なことに本稿執筆時点では,ECMのカタログに本作は掲載されていないし,MonderのWebサイトにも載っていないのはなぜなんだろうか。プロデュースが総帥Manfred Eicherではなく,Sun Chungだからって訳でもないだろうが,やっぱり疑問である。

それはさておきであるが,出てくる音はいかにもBen Monderと言うべきものであり,ゆったりとした音響系とでも呼べばよいであろう音楽である。全編に渡って演奏される曲はアンビエントと言ってもよいぐらい(特にソロ曲で顕著)であるが,たまにこういう音を聞きたくなる自分がいるのも事実である(実は結構好きなのだ)。

しかし,ここでのメンツに関しては,Paul Motianは共演歴からしてもわからないでもないとしても,Andrew Cyrilleの参加には驚く人が多いのではないだろうか。Andrew Cyrilleという名前から想像される音とは対極みたいなのが,ここでの音楽だと思うのだが,どういう経緯でこの二人が共演するに至ったかというのは,非常に興味深い。いずれにしても,Cyrilleから想像されるような武闘派フリー(笑)という印象は全くなく,完全にBen Monder側の音になっている。やっぱりアンビエントだ。映画「ブレードランナー」に続編ができたら,そのサウンドトラックに使いたいぐらいだ。

そして,Sun Chungであるが,彼のプロデュースぶりは,過去のECMの音楽を踏まえた感じになっていると思うのはきっと私だけではないと思う。まだまだSun Chungプロデュース作は数は少ないが,それでもEicherを継ぐのは彼だろうなぁと思ってしまう。ECMにはSteve Lakeというプロデューサーもいるが,Lakeはどちらかと言えばフリー寄りの作品が多いように思える一方,Sun Chungは「サイレンス系」ってところか。そういう意味でECMの"The Most Beautiful Sound Next to Silence"というモットーによりフィットしているように思えるのだ。

ということで,これはこれでECM好きの私としては非常に面白く聞けたわけだが,一般の人々にはちょっと厳しいかなぁ。それでも私は星★★★★ぐらいには評価してしまうが。

Recorded in October 2010 and December 2013

Personnel: Ben Monder(g), Pete Rende(synth), Paul Motian(ds), Andrew Cyrille(ds)

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コメント

こんばんは。

この盤はいいですよね。Ben Monderは個人的にも長期フォロー物件ですが、よもやECMからリーダー作がリリースされるとは思いもよりませんでした。
相変わらず、ダークな世界で病みつきになりそうです。

TBお送りさせていただきます。

ある方面では人気のギタリストで、このアルバムが出た時に複数の人から、早く入手したいという声を聞きました。自分も聴いて良かったと思うのですが、いかんせんコメントの語彙力がなく、同じ単語をいくつも重複して、そのまま出してしまいました。まあ、そんなこともあるさ、ということで、また聴いてトライするかもしれません。

TBさせていただきます。

奇天烈音楽士さん,こんばんは。TBありがとうございます。

Ben Monderの音を考えると,ECMとの親和性はそこそこあるだろうなぁと思っていましたが,このアルバムなんかもそういう感じですね。Sun Chungのプロデュースも適切って気がしますが,こういう音も魅力的ですよね。

ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。

910さん,こんばんは。TBありがとうございます。

このアルバム,どうしてECMのカタログに乗ってこないのか不思議ですし,流通ルートも限定されていることも解せません。しかし,出てきた音はやはりECM的と言いますか,こちらが期待する感じの作りになっていましたね。私はSun Chungの働きも大きいように思いました。

ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。

菊地さんのアルバムと抱き合わせで購入。いいですね。すっかり気に入って聴いています。ギター一本で、こんなスケールの大きな世界が作れるんだ、って驚いています。

kenさん,こんばんは。

そうですねぇ。David Bowieの遺作にも参加して,知名度は上がりましたが,彼も相当のスタイリストですよね。面白いアルバムだってのは間違いないですね。

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