Weather Reportの未発表ライブ音源:予想通りというか,こいつは凄いや。
"The Legendary Live Tapes: 1978-1981" Weather Report(Columbia/Legacy)
この音源がリリースされるとアナウンスされてから随分な時間が経過したと思うが,ようやくリリースされた4枚組である。1978年から1981年と言えば,Jaco Pastorius在籍中の,Weather Reportとしてはまさに黄金時代の音源というのは衆目の一致するところだと思う。だから,この音源がかなり強烈なものであろうことは容易に想像できたことである。
実を言えば,私はまだこの音源を全部聞いたわけではないのだが,上述のような思いは,Disc 1の"8:30"に続いて演奏される"Sightseeing"でもはや明白となるのである。まさに私はこの曲をiPodで聞いていて,興奮の坩堝に叩き込まれたって感じだったのだ。これを聞くだけでこの音源が物凄いものであることはわかろうって感じである。これは時間を掛けてゆっくり楽しめばいいと思うが,必ずしもこの音源,完全未発表ってわけではないのは惜しい。世の中,ブートレッグはかなり流通していて,この4枚組にも相当知られている音源が入っているのも事実である。Milesのブートが激しく流通して,Columbiaがそれに対抗して正規版としてボックスをリリースするのと似たようなところがあるのはちょっとなぁって感じがする。
結局のところ,録音しておきながらそれをタイムリーにリリースしないから,ブートレッガーの餌食になっていくわけだが,これだけ質の高い音源なのだから,けちらずに出せばよかったのである。ということで,実を言えば,私はここに収められた演奏はブートで結構聞いていたのであるが,正規盤としてリリースされたことは喜ぶべきなのは言うまでもない。だが,アナウンスからリリースまでちょっと時間が掛かり過ぎたよねぇ。ということで,ちょっとした減点要素はあるものの,演奏はやはり黄金期と言うべき彼らの演奏が聞けるので,間違いない(きっぱり)。星★★★★☆。日本での演奏の模様も結構収められているのは,日本のファンにとっては嬉しいもの。特にフェスティバル・ホールでの音源が数多く収められているのは関西人にとっては喜ばしいことである(と言って,私はその場にはいなかったが...)。
ただ,このCDを取り出しにくいパッケージングはイマイチだなぁ。
Recorded Live between 1978 and 1981 at Various Venues
Personnel: Wayne Shorter(ts, ss), Joe Zawinul(key), Jaco Pastorius(b), Peter Erskine(ds), Bobby Thomas Jr.(perc)
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» 感謝 !! WEATHER REPORT THE LEGENDARY LIVE TAPES:1978-1981 [JAZZ最中]
ピーター・アースキンの保有するウエザー・リポートの音源をアルバムにしてリリースするという情報をきいたのは2年ぐらい前じゃないだろうか。
販売予定日もきまったようで、それからショップにいくと必ずウエザーのところをみるけれど一向にない。
それが出るとな...... [続きを読む]
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音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
どうしたのかと思っていたアルバムでしたが、ついに出てくれたという感じです。私はブートを探すということはしないで、ショップで出会うことにしていますので、このアルバムは格別でした。
このような録音状態のものを出してくれるのは、文句を引っ込めてうれしいが真っ先の答えです。
投稿: monaka | 2015年12月 5日 (土) 22時34分
monakaさん,こんにちは。TBありがとうございます。
Milesもそうですが,録音しているのに出さないと,ブートレッガーが出してしまうというのが世の常ですが,こういう音源はより幅広い人々に聞かれて然るべき音源だと思います。今聞いても,30年以上前の音楽とは思えないほどの鮮度を保っていると思います。
やや音に怪しい部分もありますが,多少の瑕疵には目をつぶっても聞かなければならない音源だと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年12月 6日 (日) 11時03分