Vein + Dave Liebman:ジャケに食指は全く動かないが,内容はいいねぇ。
"Jazz Talks" Vein Feat. David Liebman (Unit)
記事のアップに随分と時間が掛かってしまったが,ようやくのアップである。今年になってのリリースなので,まだ新譜扱いとさせて頂くが,リリースからは正直かなり時間が経過している。
本作は毎度お馴染みテナーの聖地,新橋のBar D2で聞かせて頂いて,その場で発注しながら,ちゃんと聞いてレビューしていなかった作品である。Bar D2のマスターはDave Liebmanについて極めて高度な情報収集能力をお持ちで,こんなものまでというような音源を聞かせて頂くことが多々あるわけだが,そんな中でもこういうアルバムを聞かされてしまうと,即刻発注したくなってしまうそういう作品である。
Dave Liebmanという人は,極めて多作の人なので,私のような半端な人間は,Bar D2で音を聞かせて頂いて気に入ったものを発注するというスタンスで十分だと思うが,それにしてもこれはLiebmanのリーダー作と言ってよいほどのアルバムである。だいたいがDave Liebmanなので,やわな演奏になるわけはないのだが,これまたいつものようなハイブラウなDave Liebmanが聞けるではないか。それがスタンダードにオリジナルを交えるという,これまた私が反応したくなるようなパターンである。但し,ここで演じられるスタンダードは超有名曲(なんてたって,"All the Things You Are"やら「枯葉」やら『パリの4月」やら「あなたと夜と音楽と」やらなのだ!)ばかりでありながら,やはりLiebmanがやるとこうなってしまうのねぇという感じを強く受けてしまうのである。一筋縄ではいかない。あるいは普通にはやらないってところであるが,それが私のようなへそ曲がりの人間には丁度いいのである。やっぱりLiebmanはLiebmanなのだ。しかも家人が出掛けた間隙をぬって,結構音量を上げて聞いていたものだから,またまたそのよさが感じられてしまうのだが...(爆)。
Dave Liebmanの話ばかりしていてはいかん。彼と共演しているVeinというトリオはスイスのバンドである。スイスの音楽シーンというのはよくわからないが,モントルーで大ジャズ・フェスティバルが開催されているのだから,ある程度は盛んなことは想像できるが,スイスのミュージシャンと言われてもFranco AmbrosettiとThierry Lang以外にはすぐに名前が出てこないのが実態である。しかし,ここでのVeinの演奏を聞いていると,実力は十分,それこそQuestと同じような感じの演奏を展開してしまうという印象がある。そうした音だからこそ私は魅かれてしまうわけだが,これはハイブラウなジャズってのはこういうもんだぜと思わせるに十分な作品。録音も極めて良好に思えるのは,真っ当な音量で聞いたからか?(笑) やっぱりたまには家でもこういう音量で聞かないといかんねぇとつくづく思わされてしまった。
決して万人に優しい音楽ではないが,スリリングな展開を求めるリスナーにはフィット感が強いのではないかと思う。いずれにしても私はこういうのは好きだなぁ。そうは言ってもジャケはやっぱりいただけないが。そこは惜しいんだよねぇ。星★★★★☆。
Recorded on December 5, 2013
Personnel: Michael Arbenz(p),Thomas Lahns(b), Florian Arbenz(ds), Dave Liebman(ss, ts,wooden recorder)
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