Deodato@ビルボード東京:正直言ってガックリきた。
私は常々Deodatoの生み出すグルーブ感が心地よいと思っているし,このブログにも彼に関する記事をアップしてきた。だから,彼が来日してビルボードでライブをやると知って,一回は見ておきたいという気持ちから今回,福岡の日帰り出張から六本木へ直行という無理なスケジュールの中で現地に駆けつけた。
今や,Deodatoなんて過去の人だと言われればその通りであるし,今回の客入り(見たところ6割程度)もそういう感じだと思える程度だった。だが,誰が何と言っても,Deodatoが生み出すグルーブについては,本当に心地よいと思っているから結構期待してのライブだった。
しかしである。結論から言えば,あれだけ"Best of Deodato"のような選曲で演奏しながら,イタリア人のリズムの2人は頑張っているにもかかわらず,Deodatoのキーボードが私の期待するグルーブを生み出せていなかったのである。どうも本人の体調も芳しくなかった節はあるのだが,Deodatoのキーボードに全く覇気(というか力強さと言ってもよい)が感じられなかったのである。だから,私が期待するようなグルーブはあまり感じられなかったというのが正直なところである。それは聴衆の反応にも表れていて,熱狂からは程遠い感じの反応しか得られなかったというのが実感である。そもそもなぜ「ツァラトゥストラ」をオープニングとアンコール前の2回演奏するのかも理解できないし,MCも最初はポルトガル語で通すという,何を考えているのかわからん対応も疑問であった。途中から英語でMCをやるようになったが,その英語も何を言いたいのかさっぱりわからないって感じだったのである。そうした点もオーディエンスの反応に少なからず影響を与えていたはずである。
人間のやることであるから,演奏においてミスタッチがあるのは仕方がないが,Deodatoの生命線はグルーブなのであって,それが生み出せないのであれば,元来ピアニスト(あるいはソロイスト)として認められているわけではないDeodatoにとっては,それは凡百のミュージシャンと変わらないってことを意味することになってしまう。アンコール後,ステージ前のオーディエンスはスタンディング・オベーションを送っていたが,彼らがどう感じようが勝手だとしても,私にとっては全く期待外れの演奏だったと言わざるをえないのである。演奏中から「こんなはずではなかった」という感じで,私の頭の中に?が飛び交っていたと言っておこう。
私の隣に座っていたおじさまは,演奏の途中にいつの間にかいなくなっていたのだが,途中で席を立ちたくなっても仕方ないと思わせた演奏であった。但し,Deodatoの名誉のために言っておけば,彼の演奏は通常ならもう少しましなはずである。やたらにドラムスにソロ・スペースを与えていたのも体調の悪さの裏返しだということだろう。でも今回がこれでは次に来日しても行くことはないなと思ってしまった一夜。彼の音楽は今後はCDで楽しめばいいやってことにしておこう。
ライブについては当たりはずれがあるのは仕方がないとしても,今回はやっぱりいただけないできだったということははっきり言っておきたい。
Live at ビルボードライブ東京 on November 2, 2015, 1stセット
Personnel: Deodato(key), Pierluigi Mingotti(b), Stefano Paolini(ds)
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コメント
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はじめまして。
自分も同じ感想です。
でも、1st、アンコールあっただけまだいいです。
2ndは、アンコールもなく、70分位で終わってしまいました。
最終日1st・2nd通して観た人によると、最初は頑張っていたけど、段々力尽きてたようです。
この感じだと次はないでしょうし、もしもあったとしても、自分は行かないです。
投稿: 通りすがり | 2015年11月 4日 (水) 21時16分
通りすがりさん,こんばんは。そしてはじめまして。
まぁ,Deodatoも73歳ですから仕方ない部分もあると思いますが,ミュージシャンたる者,オーディエンスの期待に応えられなくなったときは身の引き方を考えないといかんよなぁと思ってしまいました。
リズム隊(特にドラムス)が元気なだけに,Deodatoの元気のなさが更に目立ったわけですが,やはりあれでは納得のいかない人が多かったでしょうね。おっしゃる通り,1stセットは"Do It Again"をアンコールでやりましたが,本来もっと盛り上がるべき2ndでそれではいかんですね。
私も次があったとしても,行かないと思います。過去の業績は業績として認めつつも,やっぱり寂しいライブでした。
ということで,今後ともよろしくお願い致します。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年11月 4日 (水) 21時41分