Don Henleyの新譜はカントリー界から多数のゲストを招きつつも,やっぱり彼の音楽だと思う。
"Cass Country" Don Henley(Capitol)
Don Henleyの新作は"Inside Job"以来15年ぶり(!)だそうである。"Inside Job"までも11年掛かったが,更に長いインターバルとは言え,そんなに長く感じないのは,彼がEaglesとしての活動を継続しているからだと思うが,その過程においてはEaglesとして28年ぶりの新作"Long Road Out of Eden"もあった。だが,私は"Long Road Out of Eden"をこのブログでも酷評した(記事はこちら)し,彼らをどんなに好きだったとしても,Eaglesとしての活動はもう評価できないと思っているのである。だが,そうした中で,Don Henleyがリリースするソロ・アルバムは相応のクォリティを持っていて,彼のソロにはいまだに期待しているのである。
そして,この新作であるが,リリース前からDon Henleyの「カントリー・アルバム」だと言われてきた。だが,Eaglesは当初カントリー・ロックと言われていたのだから,Don Henleyがカントリー・ミュージックに取り組んだからと言ってもそれは全然不思議なことではない。確かにここに収められている音楽は,カントリー・フレイバーが強いし,かなり渋い。むしろこれは年寄りにしか受けないだろうとさえ思ってしまうぐらいである。
だが,Don Henleyの「あの声」は健在であり,彼の声で歌われてしまうと,私にとっては抗い難い魅力を持つことも事実である。ただ,私にとってのDon Henleyのソロ作の魅力はシングルなら"The Boys of Summer"のような曲やアルバムであれば"The End of the Innocence"であると言い切りたい私にとっては,このアルバムはそれには及ばないということにはなってしまう。いいアルバムなのだが,やはりロック的な感覚をもう少し残して欲しいというのは贅沢か。だが,このアルバムによって,Don HenleyがEaglesに依存しなくても,ちゃんとミュージシャンとしての活動はできる,あるいはDon Henleyの音楽として成立するということを実証していることは評価したい。ということで,星★★★★は十分付けられる佳作である。
それにしても,これだけ豪華なゲスト陣を集められるところは大したもんだよねぇ。
Personnel: Don Henley(vo), Mick Jaggar(vo, hca), Miranda Lambert(vo), Merle Haggard(vo), Michell Branch(vo), Sally Dwarsky(vo), Gale Mayes(vo), Angela Primm(vo), Molly Felder(vo), Jamie Johnson(vo), Lee Ann Womack(vo), Vince Gill(vo, g), Alison Kraus(vo), Ashley Monroe(vo), Trisha Yearwood(vo), Martina McBride(vo), Dolly Parton(vo), Lucinda Williams(vo), The Nashville Choir(vo), Richard Bowden(g), Aaron Kelly(g, mandolin), Steuart Smith(g), JT Corenflos(g), Pat Buchanan(g), Chris Holt(g), Jerry McPherrson(g), Bryan Sutton(g), Stan Lynch(g, perc), Gordon Kennedy(g), Milo Deering(pedal steel, fiddle), Russ Pahl(pedal steel), Dan Dugmore(pedal steel), Jim Hoke(pedal steel), Jerry Douglas(lap steel), David Moron(dulcimar), Rob Ickes(dobro), Mike Rojas(p, org), Tony Harrell(p, org), Jeff Babco(org), Richard Davis(key), John Deaderick(key), David Piltch(b), Glenn Worf(b), Mike Rhodes(b), Jimmy Lee Sloas(b), Jimmy Johnson(b), Alex Hahn(ds), Greg Morrow(ds), Will Henley(ds), Gregg Bissonette(ds), Shannon Forrest(ds, perc), Matt Allen(perc), Bill Chapin(perc), Marco Giovino(perc)
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コメント
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中年音楽狂さん、こんばんは。Don Henleyの新作の情報ありがとうございます。15年振りの新作ということで、当方も入手したくなってきました。
ところで、HMVを見ると通常盤とデラックス盤の2種類あり、後者の方が4曲多いようです。「Too Far Gone」「The Brand New Tennessee Waltz」「Too Much Pride」「She Sang Hymns Out Of Tune」。
中年音楽狂さんは、どちらを購入されましたか? 差支えなければ教えてください。
投稿: Marty | 2015年10月16日 (金) 21時09分
Martyさん,おはようございます。私はDeluxe Editionの存在を知りませんでしたので,私は通常盤です。でも気になりますねぇ(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年10月17日 (土) 06時31分
御無沙汰しております。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6188066
Glenn Freyが逝去。
イーグルス解散後、ソロコンサートに行ったのは何年前だったのか。これで、イーグルスの来日コンサートはもうないのかな。残念です。合掌。
投稿: Marty | 2016年1月19日 (火) 23時59分
Martyさん,こんばんは。返事が遅くなりました。
Glenn Freyはまだまだいける年齢と思っていただけに,この訃報には驚きました。追悼記事も書けておりませんが,彼の音楽を聞いて彼の業績を偲びたいと思います。最近の彼らには特に期待していませんでしたが,04年のツアーを家人と観に行ったのが最後になるとは...。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年1月21日 (木) 00時15分