ECMの新譜聴き:2枚目はDominique Pifarélyである。
"Time Before And Time After" Dominique Pifarély (ECM)
先日のStefano Battagliaに続くECMレーベルの新譜聴きの2枚目はこれである。無伴奏ヴァイオリンということで,私としてはついついバッハやバルトークを想起してしまうが,ここではかなり現代音楽的な響きが強く,これをジャズにカテゴライズすることには結構抵抗がないわけではない。だが,それはヴァイオリンという楽器による印象も強いところがあるので,フリー・インプロヴィゼーションと考えれば,ジャズだと言っても別に問題はないとも言える。最後には"My Foolish Heart"も入っているし。
そうは言っても,ヴァイオリンという楽器は,やはりクラシック音楽における位置づけの方が重いため,この響きを聞くだけでも,駄目な人は駄目だろうと感じざるをえない。しかも,ここで演じられる音楽は,現代音楽に抵抗がある人にとっては,かなり難解に響いても仕方がないものであろう。しかし,音楽に関しては何でもありの私にとっては,決して聞きやすいものではなくても,こういうのもありだなぁって感じで聞いていた。
このアルバムは2か所で録音されたライブ音源を集成したものであるが,一人のプレイヤーが演奏しているのだから,その質にはブレはないとしても,こういう音楽を「敢えて」「好んで」聴くって人はそうは多くないだろうと最初から思わせる。冒頭の音なんか聞いていると,バッハの無伴奏的だなぁなんて思っていても,どんどんもっとアブストラクトな感覚を示していくのは今の時代だから仕方がないだろうなぁ。
そういうことで,本作はかなりハードルの高い音楽であることには間違いないが,それでもこういう音楽をちゃんと聞かんといかんという時もある(きっぱり)。星★★★☆。でも一般人には絶対面白い音楽ではないので為念(笑)。
Recorded Live in September 2012 and February 2013
Personnel: Dominique Pifarély(vln)
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こういうアルバムを出してしまうところがECMらしいですね。普通のレーベル名がコワくて出せないと思います(笑)。聴く人を選ぶとは思いますが、それなりに面白いと思った部分もありましたので、やっぱりECMならではということで...。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2015年9月 8日 (火) 17時27分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
確かにハードルは高いですよねぇ(笑)。でもまぁECMとしてはありですね。悪くはないですけど,これを聞くならバルトーク聞くかなってところが微妙ですね。
ということで追ってこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年9月 9日 (水) 23時34分