やっぱりWoody Shawはいいのだ!
"Woody Shaw with the Tone Jansa Quartet" Woody Shaw(Timeless)
最近はジャズに限らず,様々なアルバムが廉価で再発されて,本当にいい時代になったものだと思えるわけだが,本作もTimelessレーベルの再発シリーズの一枚としてリリースされたものである。こんなアルバムが1,080円で買えるのだ。素晴らしいねぇ。
Woody Shawという人には「過小評価」という言葉が常について回るのは本当に不幸なことである。死に方も,低下した視力のせいかどうかはわからないが,地下鉄のホームから転落して左腕を切断,そしてその3か月後に亡くなるという不幸な人だったが,今にして思えば,トランぺッターとしてのWoody Shawは,大ヒット作はないものの,本当に多くの良作を残した人だった。
そんなWoody Shawが一時的にでも評価が上がったのは,彼がColumbiaレーベルから作品をリリースしていた頃だが,その時もジャズは沈滞期に入っていたというのがまさに不幸である。2007年に私はこのブログに次のように書いた。
「彼の不運はその活動の全盛期が,ジャズの沈滞期と呼ぶに相応しい1970年代後半から1980年代前半にぶつかってしまったことではないかと思う。時代さえ違えば,彼ほどのミュージシャンであれば,もっと高く評価され,人気も出たはずだが,世の中はフュージョン全盛で,彼の音楽に対する注目が高まらなかったのは彼にとって本当に不幸であった。」
そうした思いはそれから随分と時間が経過した今でも全然変わりがないのだが,それでもこうして彼の残した遺産が,廉価で気軽に聞けるようになっただけでもよしとしなければならないし,それを機に彼がもっと再評価されてもいいように思える。
ここでWoody Shawと共演したTone Jansaについては不勉強なのでよく知らないのだが,ここでやっているのは全て彼のオリジナルである。まぁ"Call Mobility"は"Impressions"と同じ進行なんで,オリジナルって呼ぶのもなんだが,モーダルなアプローチで共演者も好演で応えているのがいいねぇ。そして何よりもWoody Shawのフレージングは素晴らしいキレを見せており,やはり素晴らしいトランぺッターであったことを改めて感じさせてくれる。星★★★★☆。
繰り返すが,これが1,080円なのだ。買わない手はない。
Recorded on April 3, 1985
Personnel: Woody Shaw(tp, fl-h), Tone Jansa(ts, ss, fl), Renato Chicco(p), Peter Herbert(b), Dragan Gajic(ds)
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