Rickie Lee Jonesの新作はやや捉えどころに欠けて,微妙...。
"The Other Side of Desire" Rickie Lee Jones(Thirty Tigers)
Rickie Lee Jonesがデビューした時の印象は鮮烈であった。1979年にリリースされたセルフ・タイトル作と次作"Pirates"は今でも本当に素晴らしい作品だと思っている。だが,彼女の声はちょっとクセが強いので,何枚も聞いていると,段々いいのか悪いのかわからなくなってくるというのも事実である。私は結構,彼女のアルバムは律儀に購入してきたつもりだが,最初の2枚を上回る作品に出会ったことはないし,それが彼女の限界なのではないかと思っている。そうは言いながら,前作"The Devil You Know"はBen Harperのプロデュースによるカバー曲集ということで,魅力的な音源であったが,今回はどうか。
前作はConcordからだったが,今回はPledgeMusicで出資を募っていたから,自主制作に近いものと思うが,ここのところ,彼女のアルバムはチャート・アクションも決して芳しくないだけに,レーベルとの契約もままならないということかもしれない。そんな本作の前作との違いは,今回は全てRickie Lee Jonesのオリジナルによるものだということだが,バラエティには富んでいるものの,私には前作ほどの魅力が感じられなかった。曲のクォリティはそれほど悪くはないと思うのだが,決定的な曲が見当たらないというのが正直なところである。いずれにしても,私にとっては魅力が今一つうまく伝わってこないのである。
これは彼女の書く曲の魅力が今一つということもあるが,多様な曲が収められ過ぎて,捉えどころがないように感じられるのも要因だろう。前作がよかっただけに,そういう意味では今回はちょっと期待外れであった。もちろん,こちらの期待値が高いからそうなるんだが...。今後もRickie Lee Jonesの動きは追い掛けても,買うか買わないかの取捨選択はしていかないと駄目かなぁと思ってしまった。ということで,彼女の活動も正念場を迎えたってところかもしれないが,まだまだ頑張って欲しいと思っている。だが本作に関しては星★★★が妥当と思う。
Personnel: Rickie Lee Jones(vo, p, g, banjo, hca, org, perc), Jon Cleary(org), David Torkanowsky(p, el-p), John Porter(g, banjo), Shane Theriot(g), John Fohl(g), James Singleton(b), Matt Perrine(b, souzaphone, tb), Doug Belote(ds), Lenny Castro(perc), Zachary Richard(accor), Nigel Hall(vo), Calvin Turner(vo), Stevie Black(strings, arr), Mark Howard(prog), Eric Bloom(tp), Reex Gregory(as, bs, b-cl), Brad Walker(sax), Charlie Halloran(tb)
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