「ターミネーター」新作はタイム・パラドックスが問題だ。
「ターミネーター:新機動/ジェニシス("Terminator Genisys")」('15,米,Paramount)
監督:Alan Taylor
出演:Arnold Schwalzenegger, Jason Clarke, Emilia Clarke, J.K. Simmons, Byung-hun Lee
まだまだ続く映画鑑賞週間(笑)ってことで,待望(?)の「ターミネーター」シリーズの新作である。「T3」があまりにもつまらなかったから,私はシュワちゃんの出てこなかった「サルベーション」の方がましだと思っていたが,今回はシュワちゃん復帰によってどうなったかが注目された。
しかし,この映画には説明が足りない部分が多く,かつSFの永遠のテーマと言ってもよいタイム・パラドックスをほとんど無視しているところに大きな問題がある。そのことを気にしだすと,話が辻褄合わせ的なものになっていくのが正直言って気に入らなかった。
確かに視覚的には派手であるが,それは昨今の「アベンジャーズ」のような大作映画と大きな違いはない。そういう意味では,オリジナルの「ターミネーター」という映画が持っていたシャビーだが,スリリングな感覚はここにはない。むしろ,ごく普通のアクション映画になってしまっていて,「スパイダーマン」とかと何が違うのよみたいな感覚に陥ってしまうのである。そして,おそらくシリーズ化を図ることを意図して作られているので,今後は何でもありになってしまう結末になっているのである。まぁ,次作が出来上がればまた見に行ってしまうのだろうが,オリジナル「ターミネーター」の持っていた感覚はもう期待できないだろう。もちろん,この映画でもオリジナル作へのオマージュが随所に見られることは悪いことではないが,やはりこれはシナリオとして問題が大き過ぎるというのが決定的な難点である。まぁそこそこ面白くは見られるので星★★☆ぐらいとしておくが,やはりこのストーリーには無理がある。次作以降でパラドックスの問題に落とし前をつけなければ,このシリーズの未来はないということになるだろう。そもそも誰がシュワちゃん演じる改造型T-800を送り込んだのかということは謎のままだしねぇ。言い出したら,いくらでもパラドキシカルな部分がこの映画にはあるのだ。
尚,今日も最後に言っておくが,エンド・ロールで席を立って出て行った諸君は,最後のシーンを見逃しているということをわかっていないだろう。だから最後まで映画は見ようねっていつも言っているわけだが,今回の場合,大したシーンではないとは言え,やはりその意味を考えておいた方がいいぐらいのシーンだったので,やはり映画は最後まで見るべきなのだ。ちなみに,ラストのシーンとは関係ないが,私の予想では次作以降でもJ.K.Simmonsの出番はあるはずだと思っている。おそらくシナリオ・ライターとしてはそういう意味を持たせたいだろうと思わせる映画であった。
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