新主流派的な香りが際立つMasqualeroの第1作
先日,中古で拾ってきた,ECMレーベルにも3作品を残しているMasqualeroの第1作である。私はECMも"Re-Enter"以外は保有しているが,改めてこの音源を聞いてみて,このバンドはこんなに新主流派的な音だったのかと,実は驚いてしまった。正直言って,彼らのECMのアルバムも久しく聞いていないので,記憶が定かではないのだが,ECMのアルバムではここまで新主流派的な感じはしなかったようにも思える。だが,ノルウェイのオールスターと言ってよいメンツによるアルバムとして,非常に面白く聞けた。
本作はCDでリリースする際に,未発表音源も追加されており,全部聞くと結構おなか一杯って感じにもなってしまうが,北欧系のミュージシャンにしては,かなり熱い演奏だと言ってよい。後にブレイクするNils Petter Molvaerも入っているが,彼が"Off Balance"で吹くラッパはエフェクトが掛かって,まるでギターのように響いている。やっぱり昔からこうだったのねぇって気もするが,1983年当時に,コンベンショナルなものと,プログレッシブなものをうまく融合させているのが面白いし,これがノルウェイのミュージシャンによるものだというのがまさにユニークである。
バンド名に"Masqualero"とついているのは,本作にも収められたWayne Shorterのオリジナルに由来するものと思われるが,そのバンド名からも,やはり彼らが目指したのは,Wayne在籍中のMiles Davis Quintetの音だったのかもしれない。そうした目論見は十分に果たせているものと思える佳作である。星★★★★。まぁ,ジャケは...だが,音楽はOKである。
Recorded on July 4 & 5, 1983 and August, 1985
Personnel: Tore Brunborg(ts, ss), Nils Petter Molvaer(tp), Jon Balke(p, el-p), Arild Andersen(b), Jon Christensen
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