Chris Minh Dokyの旧譜"The Nomad Diaries"はなかなか面白かった。
"The Nomad Diaries" Chris Minh Doky(Blue Note)
これは私がApple Musicでの温故知新モードに入る前に,中古で安くゲットしていたものだが,記事にするのに時間が掛かってしまった。
Chris Minh Dokyと言えば,"Scenes from a Dream"という素晴らしくも美しいアルバムをリリースしている一方,Mike Sternとのライブではファンク・ベースも聞かせて,どこが本質なのかよくわからないが,ライブ後に話をした時には,「あぁ,ナイスガイ♡」って思ってしまうような人であった。そのChris Minh Dokyが2006年に欧州Blue Noteからリリースしたアルバムであるが,これが打ち込み中心の音ながら,非常に面白く聞けた。"Scenes from a Dream"と同様のリリシズムを示しつつも,メンツの使い方が面白く,よりコンテンポラリーな感じがするのである。Chrisのベース・ソロはバンバン出てくるが,"Scenes from a Dream"よりも本作の方が更にジャズ度は希薄だと言ってもよい。
だが,トータルな音楽として捉えれば,本作にジャンルを当てはめることにはあまり意味がないように思える。私はバックグラウンドにこの音楽が流れていれば,耳をそばだてるかもしれないし,聞き流してしまうかもしれない。それでも,"Jean Pierre"的な"The Scanner"でのRandy BreckerによるMiles的な音による演奏を聞いたら,多分「なんだ,これは?」と思ってしまうに違いないのである。その一方で,美しいピアノが聞こえてくることもあるし,これは私にとっては新しいムード音楽だと言ってよい(もちろんいい意味でのである)。そういう聞き方をすれば,これはかなり楽しめるはずである。
音楽にジャンルを当てはめるのはリスナー側の話であって,Chris Minh Dokyがどういう意図を込めたのかは知る由もないが,こういうのもたまにはいいんじゃないって感じの音である。星★★★★。でも,実際のところ,結構好きだなぁ,これ(笑)。
Personnel: Chris Minh Doky(b, key, vo), 坂本龍一(p),Kasper Villaume(p), Jacob Christoffersen(p), George Whitty(key, org, prog), Mike Stern(g, vo), Oz Noy(g), Michael Brecker(ts, EWI), Mads B.B. Krog(prog), Michael Parsberg(prog)
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