濃い~メンツによる"Spectrum"40周年記念ライブの実況盤
"Spectrum 40 Live" Billy Cobham(Creative Multimedia Concepts)
ジャズ界の千手観音,Billy Cobhamが初リーダー作として"Spectrum"をリリースしたのは1973年のことである。それから40年を経過した2013年秋口に,Billy Cobhamは全米各地のヴェニュー,及び欧州のジャズ・フェスにおいて40周年記念ライブを敢行したようである。それから約1年半を経過して,ライブ盤として聞けるようになったのは実にめでたい。
Billy Cobhamはご承知の通り,Mahavishunu OrchestraやMilesとの共演を経て"Spectrum"を初リーダー作としてリリースしたわけだが,その後も結構な数のリーダー作をリリースしていて,ドラマーとしてはかなりその数が多い方ではないかと思う。もちろん,それはニーズがあるからってことだと思うが,やはり人気ドラマーであることは間違いない。だが,このアルバムが録音された2013年には69歳になっていたBilly Cobhamが往時のような猛爆ドラミングを聞かせられるのか不安を感じる向きもあろう。それがやっぱり猛爆なのだ。どういう体力をしているんだと言いたくなるような叩きっぷりなのである。
もちろん,本人の体力も凄いが,メンツもそうなるよねぇって感じだから,相乗効果は働いていると考えてもいい。だが,これはやはりBilly Cobhamの強靭な肉体があって成り立った音楽である。ただでさえ激しい"Spectrum"の曲の数々を軽々とこなしているって感じがするから凄いや。40周年記念を謳うだけあって,"Spectrum"からの曲を中心に曲が構成されているが,ライブだけあって,長尺の演奏になっているのは当然である。そしてほぼ毎日,こんな演奏を相当の距離を移動しながら各地で展開していたって,まじでこの人化け物である。一体どんなものを食っているのかと言いたくなるのは私だけではあるまい。
そして,全編に渡って聞かれるBilly Cobhamらしい演奏の数々に,私は口をあんぐりさせながら,この音を聞くだけであった。だが,これはやはり生で聞くべきものってことで星★★★★とするが,それにしてもよくやるわ。ディスクで聞いているから,まだ冷静でいられるが,こんなものをライブで聞かされたら,私は大変なことになっていただろうと言いたくなるような熱~いライブ盤。
Recorded between September and October, 2013
Personnel: Billy Cobham(ds), Dean Brown(g), Gary Husband(key), Ric Fierabracci(b)
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