このジャケは...なのだが,コンテンポラリーなセッティングでのJerry Bergonziが聞けるアルバム。
"Sonora Meet Jerry Bergonzi #2" Sonora Art Quartet (VVJ→Caution Jazz)
毎度お馴染みテナーの聖地,新橋Bar D2で聞かせて頂いたアルバムである。これも先日ご紹介したDave Santoro盤同様,全く知らなかったアルバムであるが,イタリアのSonora Art QuartetにJerry Bergonziが客演した作品。このSonoraというバンドも全く知らない私であったが,編成としてはPaolo Fresu AngelもしくはDevil Quartetと同じで,ラッパ+ギター+ベース+ドラムスというものである。そうした中で,ベースはエレクトリックを多用していて,かなりコンテンポラリー感が強い。Bergonziがこういうセッティングで吹くこと自体珍しいことだと思う(私が知らないだけで,マスターからはそんなことはないですと言われるかもしれないが...)のだが,これがやはりいけているアルバムなので,今回ご紹介することとしたい。
もともとは94年にVVJレーベルからリリースされたものであるが,私が今回入手したのはCautionn Jazzレーベルからの再発盤である。こうしたアルバムが再発されること自体,驚きだが,確かに埋もれさせるには惜しいアルバムであることは間違いないと思った私である。
もちろん,どのようなセッティングであっても,BergonziはBergonziなのだが,このバンドとのフィット感が高く,非常にスリリングな演奏が全編を通じて楽しめてしまうのだ。私はこの手のサウンドが結構好物なので,お店で聞かせてもらって即発注という,いつものバカの一つ覚えのような行動パターンを示してしまったのだが,そう思わせるぐらいこの演奏は私の嗜好にはまってしまった。もちろん,サウンドとしてはコンテンポラリーだとしても,ビート的にはコンベンショナルな部分もあり,決してフュージョン・ライクにはなっていない。コーラスを使ったギターの響きはMike Stern的(フレージングは違うが)なので,Bergonziのアルバムでは"Vertical Reality"に近いかなぁとも思っているが,"Vertical Reality"の方がはるかにコンベンショナルに響くのが面白い。
ついでに言っておくと,最もコンベンショナルな響きを持つ"Swing in the Morning"ではBergonziが達者なピアノを聞かせている。クリポタといい,Bergonziといい,有能なミュージシャンは何でもできるねぇなんて思ってしまうが,余芸の域を越えていると言っておこう。
唯一,このアルバムにケチをつけるとすれば,このジャケである。私はこういうセンスのないジャケが一番好かん!内容がよくても,購買意欲をそぐようなジャケにしてしまっては,Sonora 'Art' Quartetの看板に偽りありだと言いたくなる。ジャケと聞こえてくる音楽にギャップがでか過ぎだろう。それを差し引いても,この演奏は好きなので星★★★★☆としてしまおう。だが,絶対このアルバムはこのジャケで損をしているな。
Personnel: Marco Sannini(tp, fl-h), Pietro Condorelli(g), Dario Deidda(b), Pietro Iddice(ds), Jerry Bergonzi(ts, p)
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コメント
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退院おめでとうございます。
病気はどんな病気も気がふさぎますよね。お大事にどうぞ。
これ、もってまっせ。Pietro Condorelliが目当てで買ったら、Jerry Bergonziが居て かなり美味しい思いをしたアルバムです。
このジャケットで損してるかもしれないけど、このジャケットのおかげで頭の悪い私も覚えてました。でも、どこにいったやら。。
投稿: Suzuck | 2015年5月 9日 (土) 10時32分
Suzuckさん、こんにちは。ありがとうございます。今、退院後検診の帰りです。
本作お持ちとのこと、さすがですねぇ。Pietro Condrelliってコンテンポラリーな感覚のいいギタリストですね。イタリア・ジャズ恐るべし(笑)。
私もどこに行ったかわからないCDって結構あります。もう少し整理をしないとと思ってますが、体調が回復したら考えます。とか言いつつ、病院帰りに中古盤を漁っていた私です(爆)。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年5月 9日 (土) 11時43分