久しぶりにAdam Holzmanを聞いた。
"In a Loud Way" Adam Holzman(Glass House/Pioneer LDC)
たまに,iTunesに格納したアルバムを見直したり,CDラックの整理をしていると私もいろいろなCDを保有しているものだと思ってしまうことがある。これなんかもそうした1枚だが,パイオニアが,レーザー・ディスクでもうけた分を音楽に投資するなんていうバブル末期的な発想でグラスハウス・レーベルを立ち上げたのが92年のことだったはずである。
同レーベルが一体何枚リリースしたのかはよくわからないのだが,バブル経済崩壊とともに自然消滅した感じがする。そもそもリリースされたCDのバック・インレイを見ていると,毎月1枚とか出していたのではないだろうか。そのうち,私が保有しているのは本作と,デニチェン,そしてJimi Tunnellの3枚である。基本的にはMiles Davisのバンド関係者,あるいはそれに近い感じの人を集めて,ハードなフュージョンをやってしまうって感じである。デニチェンはさておき,Jimi TunnellはNYC在住中に見たBlue NoteでのSteps Aheadでの演奏が気になって購入したはずだが,Adam Holzmanはどうして買ったのかを記憶していない。おそらく中古で買ったものと思うが,まぁいいや(爆)。
それでもって,ここに収められた音楽はメロディ・ラインを楽しむよりも,ビートやファンクを楽しむべきものであろう。後期のMilesバンドもそういう感じの部分があったが,それに近い感覚を想起させる。そして,ここで何よりも刺激的なのは,ほぼ全面参加のデニチェンのドラムスと言ってもいいかもしれない。そう意味では,身体を揺らしながら聞く分には相当いい線に行くように思える。サウンド的にはMilesバンド的な部分やWeather Report的な部分が顔を出し,微笑ましいと言えばその通りであるが,オリジナリティっていうところでは,これがHolzmanって感じではないだろう。まぁ,Adam HolzmanはMilesバンドにおいても,黒子のような存在だったと言ってもいいように思えるので,そんな個性を発露するっていうよりも,メンツの力を利用しながら,グルーブを成立させるって捉えると,この音楽はまさにそういう感じである。
いずれにしても,このアルバムの白眉は2曲目"Road Town"におけるデニチェンのドラムスだと思う。久しぶりに聞いたが,結構いい感じで楽しめてしまった。最後をピアノ・ソロで締めるってのはいかにもありがちな演出だが,ハード・フュージョンとしては相応に楽しめる作品である。だが,バカテクとかキメキメとかのテクニカルな部分は感じられないので,あくまでもビートによるグルーブを感じればいい作品と言えるだろう。懐かしさ含めての星★★★★。
Recorded in May, 1991
Personnel: Adam Holzman(key, synth, p), Kenny Garrett(as, ss), Jimi Tunnell(g), Darryl Jones(b), Steve Logan(b), Dennis Chambers(ds), Mino Cinelu(perc)
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