Boz Scaggsで"Small Town Talk"を聞くとは思わなかった
"A Fool to Care" Boz Scaggs(429 Records)
6月に来日が決まっていて,東京公演2回は早々とソールド・アウトとなり,追加公演も決まったBoz Scaggsであるが,相変わらずの人気はある意味驚きでもある。しかし,現役感たっぷりでやっているので,昔からのファンも楽しめることは前回のライブに行った私にもわかっている(だが,前回行った私は今回はパスだが...)。そのBoz Scaggsの新作がタイミングよく,と言うよりもアルバムのリリースに合わせてのツアーってことになるのだろうが,前作"Memphis"からほぼ2年ぶりに発売となった。前作"Memphis"もそれは渋いアルバムであったが,今回はそれに輪をかけて渋い。ミキシングのせいもあるかもしれないが,Boz Scaggsのヴォーカルをかなり前面に打ち出した音となっているように感じる。
とにかく,以前のAOR的なBoz Scaggsとは相当違う音が出てきて驚くわけだが,彼のルーツに近い音楽に取り組んでいるというのは前作同様である。そして,私が何より驚いたのは,あのBobby Charlesの名作"Small Town Talk"が収録されていることであった。Bobby Charles盤に近い感じのアレンジで歌われているが,Boz Scaggsと"Small Town Talk"とは従来であれば結びつかない組み合わせであるが,それでもこのシンプルな雰囲気は悪くないと思う。素のBoz Scaggsって感じと言ってもいいかもしれない。
正直言って,私にはちょっと渋さが勝ったかなぁって感じであり,私にとってはお久しぶりのBonnie RaittとデュエットしたBozのオリジナル"Hell to Pay"や,ボーナスで収録された"M.P.B."のようなノリの曲がもう少しあってもよかったように思え,一聴した感覚では"Memphis"の方が好きだったような気がする。まぁ,それでも,まだまだ十分にいけているBoz Scaggsであることは間違いはなく,もう少しじっくり聞き込めば,また新たな魅力がわかるかもしれない。
いずれにしても,ほぼ固定されたメンツで作られたこのアルバムは,リラックス感が強く,大人(それも相当年季の入った)のための音楽と言ってよい。星★★★★。ただ,この調子だと,上の2曲以外はライブでの盛り上がりはどうかなぁって感じである。ジャケも含めてどこまで渋くなるのか,Boz Scaggs...。まぁ,年齢も年齢だけに当たり前か(苦笑)。
Personnel: Boz Scaggs(vo, g, b, vib), Bonnie Raitt(vo, g), Lucinda Williams(vo), Ray Parker Jr.(g), Al Anderson(g), Paul Franklin(g), Reggie Young(g), Jim Cox(p, org, key, vib), Clifford Carter(synth), Willie Weeks(b), Steve Jordan(ds, perc, vo), Seth Asarnow(bandneon, org), Eric Crystal(ts, as), Douglas Rowan(as), Jim Hoke(bs, b-cl, woodwinds, accor, vib), and strings and vocals
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お疲れさまでございます。
Boz Scaggs は「Silk Degrees」を死ぬほど聞いた身としては
今回の「A Fool to Care」はこんなのAORじゃないと
拒絶反応が出て、わたくしには合わない次第ございます。
若干 Full of Fire が Donald Fagen 風な AOR っぽさが出ており
聞けるかなといったところでございましょうか。
過去に固執している私などには不向きなCDかもしれません。
まだまだわたくしには修行が足りないと
確信した次第でございます。
投稿: K | 2015年4月 7日 (火) 04時09分
Kさん,こんにちは。お気持ちはよくわかります。だってAORじゃないですから(笑)。
まぁここまで来てしまうと,好みで取捨選択ってことでいいように思います。私も曲によりけりって感じです。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年4月 7日 (火) 17時33分