ゆったりと時の流れるようなTore Brunborgの音楽
"Gravity” Tore Brunborg(Vossa Jazz)
これも先日中古でゲットしてきたものである。これは700円だったかなぁ(笑)。Tore Brunborgと言えば,Tord GustavsenやKetil BjørnstadとのECMでの共演盤でおなじみであるが,私がこのアルバムを購入したのは,偏にメンツに惹かれてのことである。リーダーの良さも認めつつ,ピアノがBugge Wesseseltoft,ベースがLars Danielssonでは大体想定のつく音が出てきても不思議ではない。そして,まさしく予想通りの音楽って感じである。
このメンツから想像される音が冒頭から出てきて,「そうよ,そうなのよ~」とつぶやいてしまった私だが,どうしても熱くなることがない,静謐でありながら,それでも温かみは失わない音楽とでも言えばいいかもしれない。まさに冬の厳しさゆえに,何らかの温かさを求める北欧のミュージシャンらしいという感じの音が全編で展開されていて,この手の音が好きなリスナーにとっては,好物を目の前に出されてしまった子供のような反応を示さざるをえない(笑)。
北欧にはそれこそ音の極北を目指すミュージシャンもいるだろうが,その対極にあるのが彼らの音楽と言えばよいだろうか。6曲目の"Material Balance"という曲がやや異色,あるいは実験的に響くのが,私個人的には惜しいが,それ以外はまさに彼ららしい演奏だと言ってよいだろう。決して刺激的な音楽ではないが,時としてこういう音楽に触れたくなるのも人情であり,落ち着いて時間を過ごしたいと思った時に非常にフィット感のある音楽だと思う。星★★★★。やはりこのメンツであれば,裏切られることはない。
それにしても,最近つくづく思うのだが,昔だったらECMレーベル以外であれば,決して手を出さなかったような欧州ジャズへ,私も随分と反応するようになったものだ。人間変われば変わるのか,元からそういう嗜好があったのかと聞かれれば,多分後者なんだろうねぇと答えざるをえないな(笑)。
Recorded in February, 2003
Personnel: Tore Brunborg(ts, ss), Bugge Wesseltoft(p, synth), Lars Danielsson(b), Anders Engen(ds, perc, vo)
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音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
これも懐かしいアルバムですね。いつ書いたかわからなくなっていましたら閲覧歴でみつけました。
良く解らん事書いてますが、感じ方なのでTBさせていただきます。
投稿: monaka | 2015年4月 2日 (木) 08時52分
monakaさん,こんばんは。返事が遅くなり申し訳ありません。TBありがとうございます。
こういうアルバムを見つけられのも中古盤屋めぐりの結果ではありますが,なかなか時間や機会が見つけにくくなりました。でもまぁいいアルバムですよね。このメンツなら間違いはないと改めて思いました。
ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年4月 4日 (土) 22時24分