Nonesuchレーベルからの第一作となったTigran Hamasyanだが,私にはどうも...
"Mockroot" Tigran Hamasyan (Nonesuch)
2006年のThelonious Monk Competitionの優勝者であるTigran Hamasyanは,その登場時から評価が高かったと言ってもよいが,今回,Nonesuchレーベルに移籍しての第1作ということで,購入してみた。私がこのブログで彼のアルバムを取り上げるのは今回が2度目だが,初回は約6年前に"Red Hail"について書いているが,その時にはやり過ぎ感を感じて,やや辛い評価を下している(記事はこちら)。そもそも私とは相性がよくなさそうなのだから,今回だって買わなきゃいいだろうという声も聞こえてきそうだが,信頼に値するレーベル,Nonesuchからのリリースゆえに多少の期待もあったのは事実である。
結論から言うと,やはりこの人の音楽は私とは相性が悪いままである。母国アルメニアの音楽に基づく音楽をやることで,ワールド・ミュージック的な感覚を示しながら,その一方で強烈なテクニックを披露するって感じなのだが,このアルメニア的なもの(ついでに言うと,Tigranのヴォイス)がどうも私には居心地が悪いのと同時に,テクニックの開陳に辟易とするというのは,私がどうも上原ひろみの音楽に没頭できないのと同じ理由のように感じる。音楽としてのレベルが高いのはわかるのだが,"Lilac"のような美しいピアノも弾けるのに,何かもったいない感じがしてならない。結局,民族音楽的フレイヴァーを持った上原ひろみみたいに思えてしまうのである。
よって,上原ひろみとでさえ相性が悪いと思っている私にとっては,これはしょっちゅう聞きたい音楽とは決してならない。私にとっては「凄いねぇ」と言わされるだけが音楽ではないので,こういう音楽には相変わらず点が辛くならざるをえない。やっぱりこれも星★★★が限界。いい加減,懲りろよと言われそうだが,今後,彼のアルバムを買うことは当分ないだろうと確信した一作。まぁこれも勉強ってことだが,どうやっても合わないものは合わないのである(苦笑)。
Recorded in May, 2014
Personnel: Tigran Hamasyan(p, key, synth, vo, sound effects), Sam Minaie(b), Arthur Hnatek(ds, live electronics), Gayanée Movsisyan(vo), Areni Agbabian(vo), Ben Wendel(sax), Chris Tordini(b), Nate Wood(ds)
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すいません。今度はこちらからのTBが飛ばなくなってしまいました。後で改めてトライしてみます。
こういう超個性的なアルバムは好き嫌いが分かれるのでは、と思います。私は民族音楽好きで、しかも変拍子好きなもので、プログレとの接点も感じられて、今月末発売予定の2枚目も注文してしまってます。ただ、多くの人の意見がネット上にあることで、次に購入する人の判断材料になるので、それぞれに意見があっていいのでは、と思います。
投稿: 910 | 2017年3月25日 (土) 17時11分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。返信が遅くなりまして申し訳ありません。
「超個性的」っていうのは全くその通りですよねぇ。私にはその個性が過剰に響き,どうしてもこの人の音楽を好きになれないって感じです。まぁ,これは好き嫌いのレベルですのいで,仕方がないですね(笑)。
ということで,よほどのことがない限り,私はもう彼のアルバムを買うことはないと思っています。
投稿: 中年音楽狂 | 2017年3月30日 (木) 18時56分