Jeff Lorberの"West Side Stories":90年代,スムーズ・ジャズ全盛期って感じである。
"West Side Stories" Jeff Lorber(Verve Forecast)
先日,病院に行ったついでに立ち寄った中古ショップで250円(笑)で仕入れてきたアルバムである。私はなんだかんだ言って,Jeff Lorberが好きな方だが,本質的にはこの人のよさは「適度に」タイトな演奏にあると思っている。しかし,このアルバムはリリースされた1994年ぐらいと言えばスムーズ・ジャズ全盛期である。よって,Jeff Lorberのアルバムにしては,タイトさは控えめになっており,かなりのスムーズ度(笑)と言ってもよいものとなっている。
タイトルは"West Side Stories"なんてなっているが,「ウエストサイド物語」とは何の関係もない。本作は"Worth Waiting for"(同作についての記事はこちら)の次にリリースされた作品だが,Jeff Lorber曰く,前作が長期に渡って書き溜めた作品から構成されていたのに対し,本作はレコーディング前の6か月集中的に書いた作品集らしいので,時代の雰囲気が濃厚なのもうなずけるって感じである。
Jeff Lorberのよさっていうのは,いい意味での「中庸」さ加減だと思っているのだが,それはタイトなリズムにキメを多用しても,テクニカルな感じにならないというところに特徴的に表れていると思う。だが,この作品は,上述の通り,Jeff Lorberにしてはスムーズ度が高いので,私のようなリスナーにとっては,もう少しビシッとした感じでもよかったかなぁと贅沢にも思えてしまう。一番Jeff Lorberらしいのが最後の"Toad's Place '94"なのだが,これは”Water Sign"所収の同曲のリメイクなのだから,私がそう感じるのも当たり前と言えば当たり前なのである。ついでに言えば,オリエンタルなのかアフリカンなのかよくわからないテイストの"Tuva"が異色すぎて,ややトーンを崩しているのは惜しい。
だが,私の思うJeff Lorberの良き中庸さはここでも健在なので,気持ちよく聞けるし,雨後の筍のようにリリースされた凡百のスムーズ・ジャズのアルバムとは異なるということは言っておかなければならないだろう。ということで,250円という超ハイ・コスト・パフォーマンスで買ったからいいが,まぁこれよりもいいアルバムはほかにあるってことで,ちょっと辛いが星★★★としよう。でもそういう時代だったんだよねぇ。ついでに言っておくと,Eric Benetの声は超スイート。今の時代でも通じるわ。
Personnel: Jeff Lorber(p, key, synth, org, perc), Gary Meek(ss), Art Porter(ss), Hubert Laws(fl), Michael Landau(g), Paul Jackson Jr.(g), Paul Pesco(g), Marion McClain(g), Oliver Leiber(mutron, g), Alec Milstein(b, synth-b, perc), Nate Phillips(b), John Robinson(ds), Sergio Gonzalez(ds), Paulinho Da Costa(perc), Eric Benet(vo), Kongar-ool Ondar(vo), Ce Ce Peniston(vo), Jeff Pescette(vo)
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お疲れさまでございます。
わたくしもPC
Dynabook Windows 8.1 64bit でございます。自分はi5ですが
スペックと値段の兼ね合いでDynabook と言う感じでした。
さて、Jeff Lorberさんですが
特にアルバム Now is the timeは寝るときに聞いております。
smooth jazzってことで聞きやすいですが
物足りない感じは否めませんね。
体力がある時は濃いjazzを聞き
ボーっとしてる時はsmooth jazzでサッパリするといった
聞き方をしております。私事の文章ですいません。
今後のアルバム紹介を楽しみに拝見させて頂きますm(^^)m
投稿: K | 2015年3月27日 (金) 03時22分
Kさん,おはようございます。どのノートがいいかってのは議論のあるところですが,私が初めて使ったノートPCはDynabookなのでした。もう25年も前の,私が在米していた当時のことになりますが,Windows搭載前という今は昔の時代です。
それ以降はずっとデスクトップを使ってきたので,ノートは久しぶりですが,今のところ操作性には問題はありませんね。ケーブル類をどう束ねるかってのは若干頭が痛いですが,これから考えます。
Jeff Lorberは今回ご紹介のアルバムはスムーズ系だと思いますが,”Now's the Time"は私の期待するJeff Lorber Fusionの適度にタイトでありながら,心地よい音で,結構よかったと思っています。以前,記事にもしましたねぇ。よろしければ,下記URLをご参照下さい。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/jeff-lorber-fus.html
投稿: 中年音楽狂 | 2015年3月27日 (金) 10時05分
お久し振りです。ご無沙汰していてすみません。
私は、6年くらい前に、家の近所の、小さなレコード店で、このアルバムを見つけたのですが、定価でした(笑)。
とても穏やかで幸せに満ちた作品、後ろに書かれたExtra special thanksに、この当時の奥様との静かで温かい日常が、今とは、別の音楽を想像させたのかな?なんて、感じて、穏やかな幸せな家庭の音楽をイメージしていましたが、sooth jazz全盛期だった、と伺い、納得です。
また、ここには、お姉さんのSusanとのメモリーと書かれているので、亡くなられたお姉さんへの感情、優しい思い出もあるのでしょうね。
新しく発売されるBopと言うアルバムの収益の一部がPKDに寄付されるようですが、Jeff Lorberさんのお姉さん、お母さんは、この病気で亡くなられて、ご本人も、奥様から腎臓移植された、と、インタビューで答えていたので、いろんな思いが込められた作品でもあるでしょうね。
2004年に、腎臓移植されたので、ご本人も、同じ病気を発症していたのかもしれません。
そう考えると、日常の一コマ一コマに、幸せを感じる作品だなぁ、、と、思い聴いている私です。
http://tower.jp/article/feature_item/2015/03/06/0102
投稿: ひまわり | 2015年3月30日 (月) 09時22分
ひまわりさん,おはようございます。返事が遅くなり,申し訳ありません。
ライナーをそこまで細かくチェックしていませんでしたが,そういう事情があったんですねぇ。新譜は間もなくリリースと思いますが,あちらにも注目していきたいと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年4月 2日 (木) 08時16分