様々な曲をソウル色に変えるBettye LaVette。渋いねぇ。
"Worthy" Bettye LaVette(Cherry Red)
私が初めて彼女の音楽を聞いたのがおよそ5年前になる。そのアルバムは"Interpretations: British Rock Songbook" だったのだが,それは素晴らしい出来で,一発でまいってしまったのも懐かしい(その時の記事はこちら)。その作品ではブリティッシュ・ロックの名品をソウル化した彼女だったが,今回はむしろあまり知られていない曲を取り上げたと言うべきか。もちろん,Stonesの"Complicated"のような曲もあるが,Beatlesは"Wait"ってなんでやねん?というチョイスで,どちらかと言うと地味なのだ。冒頭のBob Dylanの"Unbelievable"も"Under the Red Sky"からのナンバーだしなぁ。すっかり忘れていたわ(爆)。
しかし,それらの曲が,まさにBettye LaVetteの持ち歌のように歌われていること自体が素晴らしく,この辺りにプロデューサーとしてのJoe Henryの慧眼が表れていると言ってよい。私はJoe Henryの仕事を高く評価しているが,いつものメンツという感じのミュージシャンを使いながら,Bettye LaVetteの世界を明確に仕立てたのはJoe Henryの功績と言ってもよいだろう。そもそも"Wait"を聞いて,"Rubber Sole"所収の"Wait"と同じ曲だと認識できるかと言われれば,私には無理だ(笑)。全く違う世界なのである。ここまで渋く仕上げるって凄いよねぇ。
そして,このアルバムがCherry Redから出るっていうのもびっくりである。私が認識するCherry Redのレーベル・カラーと全然違うが,これなら全然は文句はない。やはりBetty LaVette,大したものである。いつも思うが,必ずしも私好みの声ではないのに,ここまで聞かされてしまうのは歌手としての実力ゆえである。星★★★★☆。そして,この渋さの実現に貢献したバックの面々も大いに評価したい。ええですわぁ。さっさとオマケのDVDも見なければ(笑)。
Recorded Between August 19 and 23, 2014
Personnel: Bettye LaVette(vo), Jay Bellrose(ds, perc), Doyle Bramhall II(g, b), Chris Bruce(b, g), Patrick Warren(p, org, chamberlin), Ben Capoteau-Katz(bs), Levon Henry(ts), Linton Smith(tp)
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