超懐かしい渡辺貞夫の"I'm Old Fashioned"
"I'm Old Fashioned" 渡辺貞夫 with the Great Jazz Trio (East Wind)
East Windレーベル全作再発の中で買った1枚がこれである。私はこのレコードを昔保有していたが,学生の頃,ほかのレコードを買うために売ってしまったと思う。だが,結構懐かしい1枚であることは事実である。
私がジャズを聞き始めた頃には,既にナベサダはFlying Diskレーベルから"My Dear Life"をリリースしていて,フュージョン路線に入っていた。よって,私はこの作品は後追いで聞いたのだが,どちらかと言うとフュージョン路線でのナベサダの音楽から入っていた私にとっては,へぇ~っていう感じだったと記憶している。何せ背伸びをしてジャズを聞き始めて間もない頃である。ナベサダがバップをやっていたなんてことも知りやしない(爆)。そんなわけだから,冒頭の"Confirmation"でまず「へぇ~」となったのも懐かしい。このアルバムは,本来はラブリーなバラッド表現が多いタイトル・トラックを,急速調で演じたことの印象が強いが,とにかくこうしたセッティングのナベサダもいいんだねぇなんて思っていた。まぁ,何も知らない高校生のことだから,もはや時効ってことにしてもらおう。
以前にも書いたと思うが,私はナベサダの作曲能力には懐疑的であり,そういう意味ではオリジナルを控え目にしてインプロヴァイザーとしての能力を感じさせるこういうセッティングの方がいいのではないかと今では思っている。それでも,このアルバムに入っているオリジナルは,結構記憶に残っていたのが意外である。しかし,結構いいねぇと思わせたバラッドの"Gary"が,今の私にはどうしても"Left Alone"の焼き直しにしか聞こえないのは微妙だが(笑)。
だが,今にして思えば,このアルバムの肝はどうしてもTony Williamsのドラムスにあるように思えてならない。特にアップ・テンポでの曲での煽りっぷりが強烈だし,ドラムスの音も,誰がどこから聞いてもTony Williamsだとわかってしまうのが凄い。昔はそんなことを意識しないで聞いていたということ自体に,自分も若かったねぇなんて感慨を覚えてしまう私である。いずれにしても,そうした感慨を覚えさせるほど,懐かしいアルバムってことである。星★★★★☆。こうなったら,同じメンツで出した全曲スタンダード,ジャズ・オリジナルによる"Bird of Paradise"も再発して欲しいものである。
Recorded on May 21, 1976
Personnel: 渡辺貞夫(as, fl), Hank Jones(p), Ron Carter(b), Tony Williams(ds)
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コメント
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おはようございます。
ナベサダのアルバム、過日紹介して頂いたSWISS AIRはCDを聴いて良かったので改めてLPも購入しました。
そして今日ご紹介のアルバムとBird of ParadiseもLPで持っていますが彼のアルバムはこの当時が一番良かったような気がしますね。
超懐かしいアルバム大歓迎です。
又のご紹介楽しみにしています。
投稿: EVA | 2015年2月12日 (木) 09時23分
EVAさん,こんばんは。
記事にも書いたとおり,私がジャズを聞き始めた頃にはナベサダは既にフュージョン化していましたので,本作は当時新鮮に思っていましたし,"Swiss Air"の激しさにはのけぞりました。
たまにはこういうのも温故知新として大事ですよね。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年2月12日 (木) 22時00分