Gov't Muleとジョンスコ共演作は蔵出し音源だが,相当楽しめる
"Sco-Mule" Gov't Mule Featuring John Scofield(Evil Teen)
Allman Brothers BandのWarren Haynes(Warren Haynesは2014年を以って,Derek TrucksとともにAllman Brothers Bandを脱退しているので,元Allmansと言うべきだが...)が率いるGov't Muleの新作に,John Scofieldが参加という情報を得て,まぁジャム・バンド系の活動もしているジョンスコなので,まぁこれはいけるだろうなぁなんて予想していた。だが,この作品,新作と言いながら,録音されたのは1999年という蔵出し音源とわかり,ちょっと肩透かしを食った気分である。しかし,99年と言えば,"A Go Go"と"Bump"の間の時間であり,ジョンスコのジャム・バンドへの指向が強まっていた時期であることを考えれば,やっぱり期待できると思ってしまった。
それでもって,このアルバムであるが,結構ゆるいグルーブの中で,ジョンスコ弾きまくりである。もっと,Warren Haynesとのバトルのような感じになるのかと思いきや,お互いにソロを分け合うって感じで,丁丁発止というかたちは強く感じられないが,ジャム・バンドの音楽そのものがバトルってよりも,長い即興の中で,独特のグルーブを生み出すことを目的としていると考えれば,それも不思議ではない。
蔵出し音源だけに,出し惜しみすることなくボーナス・ディスク付きの2枚組でのリリースになっているが,まぁ,2時間半もあるのだから,全部聞いたらお腹いっぱいって感じである。Gov't MuleのWebサイトによれば,もともと,Gov't Muleの3rdアルバム,"Life before Insanity"のリリース後に,ライブ・アルバムとして発売される予定だったのが,オリジナル・メンバーであったベーシスト,Allen Woodyの死去もあって,頓挫していたものに改めてミキシング,マスタリングを施して,リリースされることになったものらしい。だが,今回のリリースが契機となって,Gov't Muleはジョンスコとツアーに出ることが決まっているので,まずはめでたし,めでたしってところか。
ジャム・バンドの音楽というのは,ジャム・バンドの持つグルーブ感こそが好きな人にとってはたまらないものだろうが,そうでもない人間にとっては,ダラダラと即興を垂れ流していると感じさせる部分がないとは言えない。だが,Warren Haynesとジョンスコという2人の優れたギタリストがいるのだから,おかしなことにはなるわけがない(きっぱり)。しかもライブでこそ真価を発揮するジャム・バンドである。そうした意味では蔵出し音源と言えども,十分に楽しめる作品となった。まぁ,そうは言っても,必ずしも,楽しめる=優れているということでもないので,音楽としては星★★★★ぐらいが妥当な評価だとは思う。強力に推薦するということにはならないが,それでも十分に元は取れると思う。
Recorded Live at the Roxy, Atlanta on September 23 and the Georgia Theater, Atlanta on September 22, 1999
Personnel: Warren Haynes(g), Allen Woody(b), Matt Abts(ds), John Scofield(g), Dr. Don Matrazzo(key) with John Herring(g), Mike Barnes(g)
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