ワン・ホーン,ツイン・ドラムスという編成でJeremy Peltがかっ飛ばす
"Tales, Musings and Other Reveries" Jeremy Pelt (High Note)
優秀なミュージシャンを集めたクインテットで,Miles色濃厚な演奏をしているJeremy Peltは結構好きだったのだが,その後,"Water and Earth"が何ともゆるい出来でがっかりさせられ,その次の"Face Forward"も試聴したが,ピンと来なくて買ってやしない。しかし,今回はサウンドをアコースティックに戻し,しかもワン・ホーン,ツイン・ドラムスという変わった編成ということで期待した私であった。
結果としては,私が求めるJeremy Peltの世界に戻ってきたなぁって感じである。今回はMiles色はそれほど濃厚ではないが,トランペッターとしてのJeremy Peltの実力が表れるようなサウンドとなっているのは嬉しい限りである。冒頭の"Glass Bead Games"からして相当のイケイケ・モードで嬉しくなってしまう。2曲目の"Vonetta"を聞くと,おぉっ,やっぱりMilesっぽいなぁなんて思わせるが,いいのである。やはりJeremy Peltはこうでなくてはならんと言いたくなる。
正直言って,曲のクォリティにバラツキがあるようにも思える。3曲目の"Harlem Thoroughfare"なんて,正直言ってあまり面白くないし,この編成を活かしているとも思えない。そもそもこの編成でやるなら,"Glass Bead Games"のようなノリの曲がもっとあってもいいし,その方がより高揚感の得られるアルバムとなったはずだけに,ちょっと惜しい気もする。だが,スローな曲でもJeremy Peltのフレージングは魅力的なので,それなりには楽しめる。
そして,このアルバムを聴いて実は一番驚いたのがSimona Premazziのピアノである。これがなかなかの剛腕なのだ。世の中にはまだまだ知らない人がゴロゴロしているねぇ。とか言いながらよくよく見てみれば,crissさん,Suzuckさん,oza。さんが,随分前にこの人のアルバム"Looking for an Exit"を取り上げられているが。まさに慧眼である。と言うか,私が無知なだけだが,そっちも聞いてみたくなるそんなピアニスト。
ということで,最近のPeltの作品では気に入った方なので,やや甘めの星★★★★。
Recorded on September 15, 2014
Personnel: Jeremy Pelt(tp), Simona Premazzi(p), Ben Allison(b), Billy Drummond(ds), Victor Lewis(ds)
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