Mole:直感を信じて購入したアルバムだが,これは微妙。
これはどこかのショップのサイトで見て,ジャケの雰囲気やらも含めて,何となく気になっていたものである。そして,ネットでちょっと試聴してみて,あぁこれならよさそうだなぁという直感に基づいて購入したのだが,これが若干微妙である。必ずしも直感は正しく機能しないというのは当たり前のことだが,音楽としては悪くないとは思う。私にとって,このアルバムで誤算だったのは,音があまりよろしくないということである。この音ではトリオ編成による演奏のニュアンスが伝わらないのが痛い。私は音質がどうこうで,音楽を評価するタイプではないが,意図的にローファイにしているのかと言いたくなるようなくぐもった音のように思えて,おい,おいとなってしまうのだ。
Moleというバンドはメキシコ出身のピアニスト,Mark Aanderudと,アルゼンチン出身で,現在はメキシコ在住のドラマー,Hernan Hechtから構成され,デュオで演奏することもあれば,今回のようにゲストを迎えてトリオ,あるいはクァルテットでも演奏をすることもあるようである。そして,今回彼らに加わっているのが武石務(Stomu Takeishi)である。武石務はエレクトリック・ベース,かつMoleの二人もエレクトロニクスを使うということで,まぁ普通のピアノ・トリオの演奏になる訳はないのだが,いかにもという感じの変拍子満載の,超現代的なトリオと言ってよいように思う。
音楽としてはアンビエント的なものから,ハードなものまであって,この手の音が好きなリスナーにはOKと思える演奏だと思うのだが,新しいアルバムなのに,なぜこの程度の音でしか録れなかったのかというのがそこが残念である。冒頭の"Sub-All"からして,そうした音の問題を感じさせてしまうので,聞き進めるモチベーションが高まらないのである。せっかくいけている音楽を作っているのだから,もう少し音にもこだわりを持ってもよかったのではないか。後半の曲は比較的音は改善するように聞こえても,第一印象が悪いのはいかんともしがたい。だからこそもったいないのである。ということで,星★★★。
ところで,2曲目の"Reasons"という曲は,どこかで聞いたようなメロディ・ラインを持つのだが,それが何なのか,どうしても思い出せない。やっぱり年だなぁ(苦笑)。
Personnel: Mark Aanderud(p, key, electronics), Hernan Hecht(ds, electronics, effects), 武石務(b)
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