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2014年12月30日 (火)

2014年の回顧(その4):ジャズ編

今年の回顧シリーズも本日が最後である。昨日も書いたが,今年はCDの購入枚数はボックスものが結構あったので,かなりの枚数となっているが,点数という意味では従来よりも減ったはずである。ボックス・セットは所謂大人買いってやつだが,昔よりは情報量が減少している(というよりも情報を収集する意欲の減退だったり,リアル・ショップへ行く回数の減少)こともあって,そっちに走っているって話もある。

そうは言いながら,私が今年「新譜」カテゴリーでアップした記事は90件近くあるし,買っても記事をアップしていないアルバムも結構あるので,少なくとも月10点ぐらいは買っている感じにはなるだろうなぁ。家人に言わせれば,これでも異常ってことになるだろうが,まぁ趣味ですから(笑)。

Three_times_three閑話休題。今年のジャズ・アルバムの中で,何を選ぼうかというのは,実は聞いた瞬間から決めていた。それはAntonio Sanchezの"Three Times Three"である。これこそジャズという音楽の持つ「スリル」を見事に体現したアルバムであって,3種類の異なるトリオで見事な演奏を聞かせたAntonio Sanchezにはまさに脱帽であった。Antonio Sanchezについては,彼が音楽を担当した"Birdman"のSanchezによるドラムスのスコアが,オスカーの音楽部門の候補に該当しない等とアカデミーから決定が下されるというひどい仕打ちを受けているが,そのような不幸があったとしても,彼が"Three Times Three"という傑作をモノにしたという事実は一切揺るがない。私としては,近年最も興奮して聞いたジャズ・アルバムだと言ってもよいぐらいである。Spark_of_life

実のところ,Antonio Sanchezのインパクトが強過ぎて,ほかのアルバムがかすんだとさえ思えるのだが,それに対抗しうる印象を与えたのは,音楽的な質は全く違うが,Marcin Wasilewskiの"Spark of Life"である。彼のトリオに今回はJoakim Milderのテナーが一部に加わるが,彼の持つ美学に一切揺るぎはなかったと言える。Wasilewskiトリオが客演したJacob Youngの"Forever Young"もよかったので,合わせ技一本って感じである。やはりこの人たちは私を裏切らないなぁと思わされた。

Pat_metheny_unity_group

そして,本年最も期待させ,そして期待に応えたアルバムはPat Metheny Unity Groupの"KIN(←→)"だと思う。私はこのアルバムを聞いた時の興奮をブログにも書いているが,その時にはこれを今年のナンバー1に据えてもいいぐらいだと思っていた。その後の来日公演も非常に楽しめるものであり,今年を代表するアルバムの1枚だとは思うが,"Three Times Three"と比べると...って感じになってしまう。

それにしても,今年はAntonio Sanchezである。このほかにも,Enrico Pieranunziとの"Stories"という傑作もあったし,"Birdman"のスコアの件も含めて,"Jazzman of the Year"はAntonio Sanchezをおいてほかにないと言える。本当に大した人である。

Hamburg72番外編としては,Keith Jarrett Trioの"Hamburg '72"の素晴らしさを改めて書いておかねばなるまい。ECMの蔵出し音源はえてして強烈なものが多いが,まだまだあるんじゃんと言いたくなるような出来であった。いずれにしても,Charlie Hadenが亡くなった後のManfred Eicherの対応はこれまでにないようなものであり,彼がECMレーベルにおいて,あるいはManfred Eicherという人にとって,どういうポジションにあったのかということを痛切に感じさせるものであった。

このほかではVijay Iyerの"Mutations"やTord Gustavsenの"Extended Circle"等,やはりECMの作品は私の心を捉えたものとして記憶に残る。Fred Herschの"Floating"も,来日公演の記憶とともに忘れられない佳作だが,Herschにはこれよりもいい作品があると思った。そして,Brad Mehldauの問題作"Taming the Dragon"というのもあったが,これは来年3月のMehlianaとしての来日公演を目撃してから,改めて考えることになりそうな作品と思っている。総じて,今年も充実したジャズ作品に恵まれたとは思うが,若干小粒だったかなぁという気もする。しかし,いい作品はいい作品として,それぞれに光るものがあり,来年以降も優れた作品と出会いたいなぁと思わせるには十分であった。

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ジャズ(2014年の記事)」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

ジャズ篇は全て入手出来ました。有難うございました。

中でも特筆はAntonio Sanchezでぴか一でした。

そして先日入手したKeith Jarrett Trioのアルバム、42年前の録音とはとても思えません(今回初めての商品化?)と言うこともあるのでしょうかアナログ感抜群でゾクゾクさせられました。

ここのオーナーは忘れた頃に取り出して我々に提供してくれることが多いですが、これは戦略なのでしょうか(汗)。

それにしては時間が掛かり過ぎる(爆)。

今年も色々有難うございました。

良いお年をお迎え下さい。

EVAさん,こんにちは。

今年のチョイスには我ながら驚きがないんですよねぇ。無難な線で選んだって感じがしないわけでもありませんが,それでもSanchezのトップは譲れません。

ということで,こちらこそ本年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

ではよいお年をお迎え下さい。

ベスト3としては同じアルバムはアントニオ・サンチェス盤1枚だけですが、ECMで今年一番となると同じアルバムですし、ベスト10までもし広げたとすると、中年音楽狂さんの今挙げているアルバムとだいぶカブる感じです。

やはり自分のベスト3でも、エンリコ・ピエラヌンツィ盤があるので、アントニオ・サンチェス度は高いと言えます。

TBさせていただきます。

閣下、トラバありがとございました。

一位の強力盤は なぜかスルーしてしまった私です。
物凄く、良いとおもったのだけど 年間のベストでは浮かんでこなかった。。

ということで 来年もよろしくお願いします。
メルドー、ジュリアナで お会いできるかな。。

今年の人はたしかにアントニオ・サンチェスでしたね。リーダー作もUnity Groupもエンリコ盤など凄い作品ばかりですからね。ただサンチェス入りの作品はある程度の気合いが必要なので、僕の方では聞く回数があまり増えませんでしたが。。。
今年も1年ありがとうございました。来年も楽しみにしています。
僕の方はやや小粒な作品をセレクトしたためかかぶっていないんですが、アップしましたのでリンクさせて頂きます。
http://musicpromenade.blogspot.com/2014/12/myfavoritejazzalbums2014.html

910さん,こんにちは。TBありがとうございます。

人それぞれ嗜好が違いますが,似てくる部分もありますよね。910さんの場合,ECMという共通項もありますから尚更かもしれません。いずれにしても優れた作品にAntonio Sanchezありみたいな一年でした。

来年もよろしくお願いします。

Suzuckさん,こんにちは。TBありがとうございます。

Sanchez盤にはフェードアウトという瑕疵がありましたが,ジャズ的な観点ではいい出来だったと思いました。

Mehlianaは私は翌日にKrantzもありますので,木曜のセカンドにしております。お会いできればいいですね。

来年もよろしくお願いします。

とっつぁんさん,続けてこんにちは。こちらもリンクありがとうございます。

こちらこそ本年もありがとうございました。各々のセレクションは皆さんの趣味や嗜好が表れて興味深いです。私の場合,ジャズは直球勝負でしたが,それ以外のジャンルは無茶苦茶でした。まぁ,そっちも人それぞれってことで。

改めまして来年もよろしくお願いします。

私が選んだのは、three times three, last dance, floatingの三枚、次点がcity folkですかね。kin, spark of lifeは期待の方が大きくて、それを超えたとは言い難かった様に感じました。

カビゴンさん,あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

評価は人それぞれですし,感じ方に違いがあってもそこには異論はありません。"Spark of Life"については,これとJacob Youngの合わせ技とお考え下さい。もちろん,これ一作でも私は評価してますが。

はい、個人の好みの問題でもありますからね。閣下とは好みが似ているのですが、最後のところでやはり若干異なって来るのを楽しんでおります。なんと言っても、聞かれている音楽の幅が格段に広いわけなので、とても参考になりますし、勉強になります。好みが似てくるのも当然かもしれません。

カビゴンさん,続けてこんばんは。

音楽的な嗜好は人それぞれですので,違いがあるのは当然です。私は自分の意見ははっきり述べますが,異論については結構寛容なつもりです。ただ,見解の相違を受け付けない方も世の中にはいらっしゃるので,時折困ってしまいますが(苦笑)。もちろんカビゴンさんのことではないですよ(笑)。

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