いきなりプログレ?と思わせたWayne Escoffery
"Live at Firehouse 12" Wayne Escoffery Quintet (Sunnyside)
本作は買ったまま,結構長いこと放置していたアルバムであったが,通勤の際,iPodで何を聞こうか悩んでいて,たまたまヒットしたものである。リッピングしてんだから,もっと早く聞けや!という声が聞こえてきそうだが,まぁそういうこともあるってことで(笑)。
Wayne Escofferyと言えばTom Harrell Quintetでの活躍が記憶に新しいところであるが,最近はHarrellは同バンドを解散させたのかどうかはわからないが,個別の活動が目立って,メンツも独自の路線を歩き出しているように思える。ダニグリ然り,Johnathan Blake然りである。ということを考えると,Tom Harrellのバンドのメンツのクォリティにはびっくりさせられてしまうが,Wayne Escofferyも同様の実力者であることは間違いない。
だが,このアルバムのキモは,Rachel ZとOrrin Evansの二人の鍵盤奏者を擁したクインテット,そしてRachelは全編で電化系楽器を弾いていることだろう。Wayne Escofferyはコンテンポラリーな感覚も有するサックス奏者だと思うが,それがRachel Zが入ることでどんな感じになるのかというところに注目が集まるところであろう。そして,冒頭の"ZWE1"からして,おぉっ,プログレか?と言いたくなるような出だしであり,穏やかながら,現代的な感覚溢れる演奏を聞かせる。とにかく,冒頭のキーボードの響きには驚くが,それだけでは終わらないので安心してよい。2曲目の"Gulf of Aqaba"は転じて,モダンでスリリングな感覚を持つジャズ・フレイヴァーを強く打ち出し,こっちがまぁEscofferyのあるべき姿ってことになるだろう。1曲目で目立っていたRachel Zはこちらではバックアップ的なサウンド・メイキングに変化し,Orrin Evansのソロを目立たせており,鍵盤奏者同士で見せ場を分け合っている感じがする。奇数曲でRachel Zがスペイシーな感覚で目立ち,偶数曲でOrrin Evansがモダンな感覚で目立つっていう構成は3曲目,4曲目でも同様である(後半の方がより顕著)。
このアルバムはライブであるにもかかわらず,40分弱の演奏となっているのは,今日の感覚で言うと非常に珍しいことではあるが,最近のCDは演奏時間が長過ぎるよなぁなんて思っている私にとっては,リピートして聞くには丁度いい長さである。そうした短い中にも,Wayne Escofferyの実力は感じられるフレージングは確実に捉えられており,特に偶数曲は大いに燃えるリスナーも多いのではないか。Rachel Zのキーボードが入ったことで,コンテンポラリーな感覚は増しているのは事実だが,フュージョンまでは行っておらず,極めて真っ当な「現代のジャズ」という気がする。
ツイン・キーボードの効果が完璧に出ているとは思えない部分もあるので,評価としては星★★★★ぐらいが適当と思うが,この作品を聞いていて,今年,David Kikoski入りでCotton Clubに出たWayne Escofferyを見に行かなかったのは失敗だったなぁと思ってしまった。ついでに言っておくと,最後の"Blue Monsoon"って哀愁帯びたなかなかの曲である。結構いいねぇ(笑)。
ところで,このアルバムが録音されたFirehouse 12ってNew Havenなのねぇ。へぇ~って思ってしまったが,今でもConneticutってちゃんと発音できるかなぁ(笑)。
Recorded Live at Firehouse 12 on April 26, 2013
Personnel: Wayne Escoffery(ts), Rachel Z(key), Orrin Evans(p), Rashaan Carter(b), Jason Brown(ds)
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