John Surmanとノルウェーのビッグバンド共演作
"Another Sky" John Surman / Bergen Big Band(Grappa)
CDショップをうろついていて,ちょっとECMライクなジャケが目に入ってきたので,よくよく見てみると,おぉっ,John Surmanではないか。でもECMではない。しかもビッグバンドとの共演なので,若干の躊躇がなかったわけではないが,まぁ値段も手頃だったので買ってきたのがこのアルバムである。
冒頭のタイトル・トラックのオープニングからして,ディレイの効いたギターが聞こえてきて,いかにもって感じの響きである。やはりこれは普通のビッグバンドのアルバムと思って聞いていはいかんという感じの出だしである。ある意味,ECM的なムードも醸し出しているが,ミキシングはRainbow Studioだし,ミキシング・エンジニアはJan Erik Kongshaugであるから,それもまぁそうなっちゃうだろうなぁって考えることも可能である。
Monk作の"Ruby My Dear"を除けばJohn Surmanのオリジナルで占められているが,John Surmanがライナーに書いているように,このアルバムはソロイストとしてのJohn Surmanのバックにビッグバンドがいるという形態ではなく,アンサンブルを重視したものであるから,Surmanのバリトンやソプラノが激しく炸裂するって感じではないので,そうした要素を期待すると裏切られる。だが,モダン,あるいはコンテンポラリーなビッグバンド作としては相応に聞きどころもあるように思える。ただ,私が聞く限りにおいては,このアルバムの弱点は,"Ruby My Dear"が一番よく聞こえてしまうことではないかと思える。John Surmanのアレンジもまとも,彼のソロもまとも,ビッグバンドのメンツのソロもまともにもかかわらず,である。
やはりこれはJohn Surmanに何を期待するかということではないかと思えるのだが,もう少し激しさがあってもよかったように思う。「綺麗にまとまっている」っていう感覚なのである。だから非常に聞き易いサウンドであるが,印象が希薄になってしまっているのが残念である。そうは言いながら,"Spending My Time"のように,ヴァイブを交えた演奏は決して悪くないのだが...。だが,私にとってはこのアルバムは"Ruby My Dear"ってことになってしまうのは,やはりもったいないように思える。
だが,激しさはないとしても,ECMにおけるJohn Surmanの諸作を好きなリスナーはある程度気に入る演奏ではないかと思う。ということで,ちょいとアンビバレントな感じが文面からも漂っているが,星★★★☆って感じだろう。アンサンブルを重視したのはわかるが,ソロイストとしてのSurmanのパワーを発揮するべきところも多々あったように思う。
Recorded on October 21-23, 2013
Personnel: John Surman(bs, ss), Olav Dale(as, fl), Jan Kare Hystad(as, fl), Ole Jakob Hystad(ts, cl), Zoltan Vinsze(ts), Vidar Johnson(bs, b-cl), Nils Jansen(cl, fl, al-l), Martin Winter(tp, fl-h), Svein Henrik Giske(tp, fl-h), Are Ovesen(tp, fl-h), Tancred Huso Heyerdal(tp, fl-h), Sindre Dalhaug(tb), Oyvind Hage(tb), Pal Roseth(tb), Kjell Erik Huson(b-tb), Dag Arnesen(p), Loe Thomsen(g), Magne Thormodsater(b), Frank Jakobsen(ds), Stein Inge Brakhus(perc), Ivar Kolve(vib)
« 唐突ながら,Kenny Drew Jr.が亡くなっていたようである。 | トップページ | ブラームスのよい聞き手ではない私だが,Thielemannの全集はいいのではないかと感じている。 »
「新譜」カテゴリの記事
- Chick Coreaの旭川でのソロ・ライブ音源が公開された。(2026.02.06)
- Joel Rossの新作はその名も"Gospel Music"。だが,典型的ゴスペルではない。(2026.02.07)
- Julian Lageの新作はまたもJoe Henryプロデュース。(2026.01.25)
- 今年最初の新譜はEnrico Pieranunzi。あの"Live in Paris"と同じメンツで悪いはずなし。(2026.01.05)
- 2025年の回顧:音楽編(その1:ジャズ以外)(2025.12.28)
「ジャズ(2014年の記事)」カテゴリの記事
- 2014年の回顧(その4):ジャズ編(2014.12.30)
- ジャズ・ギタリスト,John Scofieldが楽しめるライブ盤(2014.12.25)
- 今頃になって上原ひろみの"Alive"を聞く。(2014.12.23)
- Marko Churnchetz:ショップをうろついて出会ったなかなかナイスなアルバム(2014.12.21)
- コレクターはつらいよ(17):"The Broadway Lullaby Project"にBrad Mehldauが1曲だけ参加。(2014.12.15)
« 唐突ながら,Kenny Drew Jr.が亡くなっていたようである。 | トップページ | ブラームスのよい聞き手ではない私だが,Thielemannの全集はいいのではないかと感じている。 »

































































コメント