メンツも凄いが,ほとんどフリー・ジャズ化したナベサダにびっくりする。だが,アルバムとしての評価は...。
"Round Trip" 渡辺貞夫(CBSソニー)
後のフュージョン化したナベサダから彼の音楽に触れてきた私である。最初に買った彼のアルバムはFlying Diskレーベルの"My Dear Life"だったと記憶しているが,その後,Dave Grusinとのコラボやワーナー時代の音源に親しんだ身からすれば,これはびっくりするような音楽だと言えよう。
メンツが強烈で,Corea~Vitous~DeJohnetteというリズム・セクションというだけで,ナベサダなしでも聞きたくなるが(爆),録音されたのが1970年ということで,Chick CoreaとJack DeJohnetteにとってはMilesとのLost Quintetから"At Filmore"のような時期である。データからすれば,"At Filmore"からほぼ4週間後ぐらいだから,どんな音楽になるかは推して知るべしであるわけだが,それにしても激しい。ほとんどフリー・ジャズである。
そして,なんとも不思議なのが,ナベサダの主楽器であるアルトでなく,ソプラニーノとフルートしか吹いていないことである。私はソプラニーノについては,いつも「チャルメラかっ!?」と毒づいている(と言っても,このブログに書いたことはないかなぁ)ので,ここでもソプラニーノにこだわる必要はないのにと思ってしまったが,まぁ,フリー的な対応にはアルトよりも,ソプラニーノの方がサウンドとしてフィットしているという判断もあったかもしれない。とにかく冒頭のタイトル・トラックには驚かされる。2曲目の"Nostargia"はインタルードのような扱いと思えばいいが,3曲目はお馴染み"Pastorale"であるが,この曲でも,メロディ・ラインは保っているものの,フリー的なアプローチが続くが,やや演奏には破綻が生じてくる。私がVitousのアルコの音があまり好きでないということもあるかもしれないが,私はこの演奏なら,ナベサダとDeJohnetteの1対1の対決のシーンもあってよいように思ってしまう。そのぐらい,ChickのピアノとVitousのベースの「適当」感が強い。まぁ,よく言えばコレクティブ・インプロヴィゼーションであるが,奏者の間の連関が希薄なところに中途半端さを感じてしまう。その中ではDeJohnetteはちゃんと仕事をしているように感じられるが,これはタイトル・トラックに比べるとちょっとなぁっと言うべき演奏である。
そして,最後の"Sao Paulo"にはUlpio Minucciなるピアニストが参加しているのだが,大した効果は生んでいないのだから,ChickのRhodesだけでいいじゃないかと言いたくなるのは私だけではないだろう。
だからと言って,このアルバムが捉えた1970年という時代感は否定しないが,アルバムとして捉えれば,プロダクションには問題があると言いたくなる作品である。LP時代であれば,おそらく私はA面しか聞かなかったであろう,そんなアルバム。星★★★。私は本作よりは,以前取り上げた"Swiss Air"の方を評価したい(記事はこちら)。まぁ,1,000円そこそこで買えるんだから,文句はないが(笑)。
Recorded on July 15, 1970
Personnel: 渡辺貞夫(sn, fl), Chick Corea(p, el-p), Miroslav Vitous(b), Jack DeJohnette(ds), Ulpio Minucci(p)
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